ドライフラワー ページ24
ウィラさんの最後の一言が少し引っかかったが、
「ドライフラワー……確かに、生花をそのまま油に漬けるより、其方の方が長持ちしますね」
ヘレナちゃんの言葉で意識はどんな花にするかに逸れた。
「薔薇のドライフラワーなんてよく聞くなの！」
「水分の少ない花……ラベンダーやカスミソウなんてどうでしょう？」
「センニチコウやユーカリ、カーネーションなんてのも素敵です」
ヘレナちゃんから沢山の花の名前が出てきた事に驚いた。しかもどれもドライフラワーにし易いと言われている花だ。
「凄い！沢山知ってるなのね」
「ヘレナちゃんは物知りですね！」
ヘレナちゃんはへにゃっと笑って恥ずかしそうに頬を掻いた。
「えへへ。植物に詳しいお二人に言われると嬉しいです。実は私、少しだけ植物について調べていた頃があったんです。触った時の花びらの感触や、肌を擦れる草の感触、草木の匂いや甘い花の匂いが大好きで」
目を瞑って、うっとりと話すヘレナちゃん。盲目の彼女は今何処にいるだろうか。森の中、花畑。きっと素敵な場所にいるのだろう。
自分の事では無いのに、植物を褒められると私まで嬉しくなってくる。
隣のエマちゃんもきっと同じ気持ちだ。顔が綻んでいる。
「だから、今日こうやってお手伝い出来て嬉しいです。まずはドライフラワー作り、頑張りましょう！」
小さくガッツポーズを作るヘレナちゃんはとても愛らしかった。
◆
「だいぶ摘めたなの！」
そう言って汗を拭うエマちゃんが下げた籠には、色とりどりの薔薇、カーネーション、カスミソウが入っていた。
「ラベンダーやユーカリ、センチコウは花壇になかったですね」
少し種類が少なくなってしまったかな……と思っていると、
「ユーカリはともかく、センチコウやラベンダーなら、この館の近くに生えていましたよ」
ヘレナちゃんがそう呟いた。
「え！？なんで知ってるなの！？」
私も驚いた。だってここに居る方々は毎日ゲームや自分の趣味に忙しい。しかもここは森に囲まれている場所だ。
「……だ、だって気になるじゃないですか。何があるのか。だから毎日少しお散歩を……」
恐るべし好奇心。
盲目の少女が何があるか分からない森を杖を片手に散歩だなんて、文だけでもだいぶ危険に聞こえる。
だが荘園で行われているゲームも相当だから何も言えない。
「とにかく。他のお花は私に任せてください！」
自信満々に自分の胸を叩くヘレナちゃん。
改めて彼女の強さを思い知らされた。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
