待ち時間 ページ14
机の引き出しの中から水玉模様の巾着袋を取り出し、作業鞄に入れる。
そして、いつも園芸に使う道具が入っている木箱の横にあるジョウロを机に置いたら、試合の準備はバッチリだ。
『今日はA、イソップ君と一緒の試合に出られるの！』
今朝のエマちゃんの言葉はあれから頭で何十回もリピートされていた。その度に嬉しさだとかワクワクだとかが押し寄せてくる。
「活躍するかっこいい姿を見せたいです」
今日なら解読をいつもの10倍早く終わらせたりだとか、暗号機5台分もチェイス出来そうな気がする。
そんな妄想を繰り広げていたら、あっという間に試合の時間になってしまった。
作業鞄を腰に下げ、ジョウロを抱えて試合の待機室へと向かう。まだゲームは始まっていないのにドキドキする鼓動に少し動揺しながら、その扉を開くと、
「あっ、A・A！」
席に着いたフィオナさんが驚いた顔でこっちを見てきた。
「フィオナさん！昨日ぶりですね。よろしくお願いします」
一礼してから、隣の席に座ろうと椅子を引くと、フィオナさんは奥から2番目の席を指さした。
「あー、そこに座るんだったらイライの隣に座るといい。Aの隣がいいらしいぞ」
「えっ！？」
一番端に座っていたイライさんが真っ赤になって驚きの声を上げた。
「あぁ、分かりました、そうします」
引いた椅子を戻して、イライさんの隣に失礼する。
私はフィオナさんに嫌われているだろうか？
そんな考えが頭の中に浮かび上がった。
だが、関係が悪化すると、試合に影響が出てしまうかも知れない。
やはり、フィオナさんは私に嫉妬しているのだろうか。昨日の件が脳裏を過ぎった。
なら、今の内にきちんと誤解を解かないと。
腹を括って言葉を発する。
「フィオナさん。あの、昨日言っていた事ですが、私は別に貴女と納棺師さんの関係を害するつもりはありませんので、どうかご安心ください」
勢いのままに言い切ると、フィオナさんは目を点にした。
確かに自分でも言いながら直球すぎたと感じている。
「ええ？納棺師との関係？」
先に反応したのはイライさんだった。
彼は怪訝そうな顔でフィオナさんの顔をじっと見つめるた。
「昨日何かAに吹き込んだのかい？」
「はあ！？納棺師の事をどう思っているのか聞いただけだ」
そして急に始まる口論。
誤魔化しと誤解を解くのを含めて、
「あ、昨日の質問ですが、尊敬しています」
と言ったのと、最後の一人が入ってきたのはほぼ同時だった。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
