迷推理 ページ11
「えっと？何を根拠に？」
そもそもフィオナさんとお話したのは自己紹介の時以来だ。試合でもまだ同じになった事がないし、廊下をすれ違う事も無かったのに。
脳の処理が追いつかない私に、フィオナさんは更に畳み掛ける。
「図鑑でちゃーんと調べたんだぞ！」
「ず、図鑑？」
「しらばくれるな！」
否だって知りませんもん。
フィオナさんは綺麗な顔を顰めさせて私と顔を近づかせる。
「ちゃんと載ってたんだぞ！尊敬、予期せぬ出会い、信頼！！」
尊敬、予期せぬ出会い、信頼？
「どう考えても何も関係のない初対面の人に贈る言葉ではない！何かしら特別な想いがあるんだろう！？」
贈る言葉？
もしかして……。
頭の中にかかっていた霧がパッと晴れる。
納棺師さんに贈った黄色のゼラニウムのことでしょうか？
放とうとした言葉は、突然バサバサっと頭上から聞こえた音によってかき消された。
見上げると、頭上を一羽の梟が鳴き声を上げながらグルグルと飛び回っていた。
そして梟はフィオナさんの頭に止まったかと思ったら、彼女の頭をフード越しに一心不乱につつき始める。
振り払おうとしてもしっかりとフードにしがみつき、つつかれまくった挙句、フィオナさんは、
「あー！もうイライのやつ！！」
と叫んで、この場から走っていってしまう。
あっけらかんとしていると、脳処理が終わって一つの考えが導き出された。
「フィオナさんと納棺師さんは恋人同士で、私が納棺師さんにお花を渡した事が気に食わなかったのでは？」
だいぶ迷推理だが一理あるかもしれない。明日エマちゃんに聞いて見ることに決めた。
◆
次の日、庭の手入れをしようと部屋を出ると、モジモジしたビクター君がいた。
「何かお困り事がありましたか？」
声を掛けると、顔をぱっと明るくしてから、一通の手紙を差し出してきた。
綺麗な白い封筒。
「私宛にお手紙が？ありがとうございます」
受け取ると、ビクター君は指で丸を作ってにっこりと笑った。
そして、ぺこりと一礼してまた新しい配達に行ってしまう。
私はドキドキした気持ちで手紙を見詰めた。
此処に来て、誰かから手紙を貰うのは初めてだ。
手紙を裏返すと、丁寧な文字で私の名前と送り主の名前が……。
「わわわっ！なんということでしょう！？」
習字のお手本の様な綺麗な文字が表された手紙には、納棺師さんのお名前である、イソップ・カールという文字が書かれていた。
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にゃろ(プロフ) - 錆さん» コメントありがとうございます！とても光栄です。更新頑張ります！ (2020年5月24日 20時) (
レス) id: 67ae364a5f (このIDを非表示/違反報告)
錆(プロフ) - コメント失礼します。いつもワクワクドキドキしながら読ませていただいてます。無理せず更新頑張ってください！ (2020年5月24日 17時) (レス) id: a752c0635d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃろ | 作成日時：2020年4月18日 1時
