【第5人格】籠の鳥【短編集】 (ページ6)

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Ⅱ ページ6

「そうです！取引です！」
私はニヤニヤしながら、イライさんの周りをクルクルする。
「私がイライさんがポッポちゃんにちゅっちゅしてる事を皆に言わない代わりに、今日一日、ポッポちゃんを自由にモフモフさせて下さい」
「成程……。だが」
「あ、そうですか。では今から私は食堂へ行って大声でその事叫んできます」
「いやちょっと待って！」
食堂へ行こうとした私の腕をイライさんに掴まれた。
「なんです？」
「分かったから。条件を飲むから、それだけはやめて」

よっしゃ。
私は不敵な笑みを如何にも悪者っぽく浮かべた。

こうして今日一日、ポッポちゃんを私のものにすることが出来ました。

肩にずっと何かが乗っかっているのは、何だか新鮮だ。少し安心感を感じる。

私はリッパーぽく鼻歌を歌いながら、荘園の皆に自慢する為に屋敷の色々な所をうろうろする。

「あ、エマちゃん見て見て！」
「あー！ポッポちゃんなの！可愛いの！」

「ナワーブ！見て見て！冬毛ポッポちゃん！」
「ポッポちゃん？冬毛？あ、本当だ。なんかいつもよりモコモコしてるような……」

「美智子さーん！」
「あらAはん。可愛いフクロウはんも連れて。癒されるなあ」

「バルクさん！」
「おおお可愛いのう。撫でても良いかのう？」

一通り見せびらかし終えた時は、もう夕日が傾いていた。

「もう一日も終盤戦かー。早いねー」
私がそう呟くと、ポッポちゃんはそれに応えるように、ホー、と鳴いた。可愛すぎる。
またポッポちゃんの頭を撫でていると、少し思った。
「ねえポッポちゃん。今日は皆に撫でられてちょっと疲れちゃったねー。だから今から夕食の時間までお部屋でのんびりしない？」
ポッポちゃんはそれに賛成！とでも言うようにホゥ！と鳴いた。

……
ここから少し注意
………………

何だか、体が重い。そして暑い。

重い瞼を上げると、青色の瞳と目が合った。
「わーっ！？」
思わず飛び上がりそうになるが、強い力で体が押さえられて動かないので、そうする事は叶わなかった。
「えっと、何だこの状況……。てか貴方何やってんですか？イライさん」
私は私の上に乗っかって見下ろしてくる彼の名前を呼んだ。
彼は唯、嬉しそうにふふふ、と笑う。
「ていうかポッポちゃんは！？」
私は首だけを動かしてあの愛しの姿を探すが、何処にも居ない。
「ポッポちゃんなら私の部屋に帰りましたよ。もう十二時過ぎましたし」

ああ、成程。合点がいった。