黒服の秘密のお仕事

13 ページ13

カウンターに戻ってから
神宮寺様が

「平野さんって、下の名前はなに？」
「ゆうです。平野ゆうです」

「これからもお世話になると思うし、下の名前で呼んでもいい？」
「紫耀とおんなじ苗字やから、平野さんって呼ぶのこしょばいねん」

あ、そうか
でも彼等は芸能人だから
人の目を気にしないといけない

一応、確認しておく

「私は何て呼んでもらってもいいですよ。でも、他の方に何故私を下の名前で呼ぶか聞かれたら、何て答えますか？」

彼等は注目されている
記者にも、好意を寄せた女性にも
突っ込まれる日が来るかもしれない

「あ〜…親しいから？って言っていい？」

神宮寺様が真面目な顔して答える

声掛けシステムは秘密だから
もう一歩踏み込む

「では、私の後輩が…親しくなったら名前で呼んでください、とアピールしてきたら…どうされますか？」

親しくなる人が増えて欲しいなら
それでいい、となるはず
煩わしいなら、別の理由が必要になる

「そうやんな…それやったら紫耀と同じ苗字やから？それやと他の平野さんもになるな…」
「ねぇねぇ、実は紫耀の遠い親戚とかじゃダメなの？」

高橋様が仰った事に
岸様が顔を上げて

「平野コンビだな！自然じゃん」
「じゃぁ…紫耀と平野さんは遠い親戚って答える？…いい？紫耀？」




「俺はいいよ…平野さんはいいの？」
「はい。よく分からないけど親戚ってわかったって言いますね」




「じゃぁ、ゆうちゃんって呼ぼ」
「ゆうちゃん！だな」
「よろしくな、ゆうちゃん」
「ゆうちゃん、よろしく〜…ふふっ」


笑顔になって良かった

「紫耀も一回呼んどいたら？紫耀が一番呼びなれとかんとあかんやろ」




「俺はゆう…ゆうさんって呼ぼうかな」


「親戚やのに…他人行儀やない？」



「でも親戚のお姉さんって感じするじゃん？」

「ぁあ、逆に、遠い親戚な感じやな」



平野様が永瀬様に向けてた視線を



ゆっくり私の方へ向けて




「ゆうさん…」



ぅわ……


「はい…」






照れるなこれは

14→←12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す