月をみて (ページ2)

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2 side紫耀ページ2

「あ、一番前…」
「うわっ紫耀かわいそー。俺窓際〜」
「紫耀の隣の女子誰？」

机くっつける女子は…
あ！Aさんだ…
わかりやすいくらい落ち込んでる…

「Aじゃん！いいなぁ〜Aなら男みたいだし楽じゃん」
「俺、もう行くわ。じゃな」

友達を放って隣に行く

「よろしくね。Aさん」

顔をあげたAさんは
…死にそうな表情してた

クラスで男女がギスギスする学年なのか、5年と6年は男女で机をつける
給食は横から向かい合わせにつけてペアで食べる
なんて事ないけど、やっぱり隣にいる女子で気分がかわる

俺は3人組で仲間内だけで遊んでた
だけど、このクラスでAさんだけはどこのグループにも入れる唯一の子だった
気の強い女子のとこも盛り上がってるし、クラスではあまり喋らない女子のとこで一緒に編み物？なんかチマチマしたもの作ってる。
男子とドッジボールや雑巾レースも休み時間にしてるし、気の弱い男子と牛乳キャップ選手権してる
普段は女子5人位で楽しそうに話してる

でも、皆で仲良くしましょう、みたいなうさんくさい奴じゃなくて、誰でも彼女と一対一でいて楽しいだけだった
だから彼女の席の周りには誰か誘いにくる
俺たちはクラスのどことも混じらないので、Aさんとはあまり遊んだことはなかった

いつも朝おはようと言う時はキレイな髪の毛なのに、お昼休みをすぎる頃には髪の毛と制服がぐちゃぐちゃになってるのが面白かった

Aさんは忘れ物をよくしてるから、俺が貸してあげれるようにちゃんと前の日チェックして持って行こう
自然に思った

給食の時間、Aさんと向かい合って食べる
ご飯の時はAさんは最初から最後まで楽しそうに食べてるんだけど、パンの時は最初は美味しそうに食べるんだけど、途中からテンション下がってる
パンが嫌いなのかと思ったけど、よく見てみると、ご飯の日は毎日量を減らしてることに気づいた

お腹いっぱいになってるのか！
パンは減らせないもんな
どうしよう…
食べてあげたいけど変じゃないかな？

「…Aさん、パン半分こする？」

びっくりした顔がおもしろい

「…いいの？平野くん…」
「うん」

この日からAさんとパンの日は半分こすることにした

不思議なことに
Aさんの忘れ物は宿題も含めて

まだ一度も無かった