【東京喰種】ないから喰われて続く (ページ10)

今日:1 hit、昨日:7 hit、合計:13,262 hit

第9話ページ10

部活の練習試合の帰りだった。
まだ1年だから応援で終わったけれど、楽しかった一日。
それは絶望に変わる。

カレーをつくって待っていると微笑んだ姉の笑顔を思い出しながら、家のドアを開いた。
その瞬間、臭いがした。
かいだことのある、残酷な臭い。
それと同時に、くちゃくちゃという咀嚼する音。

「お姉ちゃん？」

バッグを玄関に置き、リビングへ行く。
目についたのはテレビに映る最近人気のアイドルと、二つの人影。

姉が男の喰種に喰われていた。

「あ……い……いやぁ……」

姉は既に絶命し、内臓が見えていた。
私は逃げることなどできず、ペタリと床に座り込む。
吐き気がして涙が出た。

姉を喰っていた喰種がゆらりと立ち上がる。
そして、ゆっくりと近付いて来た。

ひぃ、と小さな悲鳴だけが口からもれ、這いつくばりながら逃げ出した。
しかし、すぐに肩を掴まれる。
髪を掴まれて、喰種と顔を合わせる形になった。

喰われる。

そう思った時、喰種の前髪の隙間から赤い瞳を見た。
片方だけ赤く輝く瞳。
後に彼は隻眼の喰種であると知った。
私はその時、片方だけ輝くその目を見て、何故か綺麗だと思った。

その後の記憶は、ない。

まさか目が覚めるとは思わなかった。

私はあの時喰われずに、近所の人からの通報を受けて駆けつけた捜査官の方に保護された。
その時の捜査官の方の話によると、家には私しかいなかったらしい。
姉のものと思われる体の一部が机の下にあったそうな。

私はその後、CCGが運営する孤児院に引き取られた。