【東京喰種】ないから喰われて続く (ページ8)

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第7話ページ8

幼い頃の話。
私の家はごく普通の一般家庭で、両親と年の離れた姉の四人家族だった。
両親は二人とも喰種捜査官。
市民の平和のために命を張る二人の職業は憧れだった。
しかし、その頃の私は喰種に恐怖の感情を抱いていなかった。

保育園が休みの日は、近くの公園で友達と毎日のように遊んでいた。
ある日、友達が家族でアメリカへ行っていて、私は一人でブランコに乗っていた。
ふと砂場へ目を向けた。
そこには、同い年くらいの男の子が座り込んでいた。
藍色に近い綺麗な髪。
当時、知らない人だろうとペチャクチャと話していた私は、迷うことなくその男の子のもとへ向かった。

「ねえ、君！」
「……僕？」
「そう、君！」

その子はいきなり現れた私にビクビクしていた。
そりゃ、名前も知らない女の子がハイテンションで絡んできたらそう反応するわな。
しかし、当時まだ子供だった私に日とを気遣うという親切な心は持っていなく、ドスンと男の子の隣に腰を下ろした。

「私、桃野優子！○○町に住んでいるんだ！君は？」
「き、霧島絢都……」
「ふーん、アヤトくんか」
「うん」

アヤトくんはずっと視線を足元へ向けていた。
彼の顔をしっかりと見たくて、私は保育園で流行っていた遊びを仕掛けた。

「アヤトくん、喰種でしょ！」
「ええ！？」

その顔は、とても泣きそうで驚いていて、私はたじろいだ。
まさかそんな反応をするとは思っていなかったのだ。
ちなみに遊びはケイドロではなくソウグルという、赤音ちゃんという子が思いついた遊びだ。
ルールは簡単、ケイドロの捜査官と喰種バージョンだ。
「○○くん、喰種でしょ！」「ふふふ、よくわかったな」「まてー」というセリフから始まる。
そのことを彼に教えると、ホッとしたような顔をしていた。

「……ユーコちゃんは」

今まで黙っていたアヤトくんが、その時初めて口を開いた。

「喰種って、どう思う？」
「んー、皆怖いとか言うけど、全員がそうとは思えないな」

そう言うと、彼の表情が輝いた。
はじめてみた笑顔だった。

「また、遊びにきていい？」
「あたりまえじゃん」

何故彼がそんなに喜ぶのか理解できなかった。
ただ、友達が増えたことが嬉しかった。

これが、私とアヤトくんとの出会いである。