【東京喰種】ないから喰われて続く (ページ7)

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第6話ページ7

あと少しで本部、というところまで走った。
人の声がたくさん聞こえるから、きっと大した被害にはなっていないだろう。
安心して、疲れと緊張と恐怖でガクガクしていた膝から力が抜けた。

「よかったぁ……」

ひとまず、本部にいる人に合流すると連絡しなければ。
トランシーバーを取り出す。
すると近くから、ぐちゃりと音がした。

体を真っ二つにされた青柳さんの姿を思い出す。
吐き出しそうになるのをこらえて、その場へ向かった。

「佐倉……さん？」

そこにいたのは、ボロボロになった佐倉さんだった。
うつ伏せに倒れ、服の背中部分が引きちぎられている。
あの、最強の佐倉さんが。
優しかった佐倉さんが。
少しウザかったけれど、医療班に所属したての頃からなにかと気を使ってくれた。

私は佐倉さんの近くに立つ喰種を睨み付けた。

「喰らってやる」

その命を。

私は短期戦が得意だ。
一気に終わらせるつもりで地面を蹴った。
喰種に蹴りを入れる。
しかし、避けられる。
でも、いきなり突っ込んだから、そいつは少し体勢を崩していた。
その隙に転がっていたクインケを拾う。
甲赫のクインケだ。

相手は羽赫。
飛んでくる攻撃をクインケで防ぎ、ふところに入る。
相手の首を切るつもりで振り上げたクインケは、相手の仮面をはじいた。
すんでのところで避けられたのだ。

カラン、と仮面が落ちる。
その下にあった顔を見た。

「……え？」

思わず声がこぼれた。

だって、こんな筈ないよ。
意味わかんない。

「ア、ヤトくん」

なんでここにいるの。