【東京喰種】ないから喰われて続く (ページ13)

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第12話ページ13

「……ユーコは」
「うん？」

急にアヤトくんは真面目な顔になり、口を開いた。
私は首を傾げる。

「喰種のこと、どう思う」

随分と昔に、同じようなことを聞かれた覚えがある。
確かあの時は、全員が悪いとは思えない、と答えた筈だ。
しかし、今はどうだ？
両親、そして姉が喰種に命を喰われた。
また、CCGの孤児院にいる子供の数だけ、彼等の大切な肉親は喰われている。
残酷な事実を目にしてからは、小学生のような平和ボケした回答はできない。

「わからない」

そんな私が出した答えは、ひどく簡単なものだった。
アヤトくんは顔をしかめた。
当たり前だ。
悪い奴でも良い奴でもないのだから。

「ママとパパとお姉ちゃんを喰った喰種は許さない。でも、まだ幼い喰種とかはどうだろう。そう考えると、どうも言えないよ」

CCGに保護されているわりには、とても反対的な意見だ。
しかし、当時の私には、まだ人類の敵を思いやる感情があった。

この意見を聞いた彼は、どこかホッとした表情をした。
そういえば、何故彼はこの質問をしたのだろうか？

「……さんきゅ」
「なんでお礼を言うのかわからないなぁ。学校の宿題？」
「宿題なんか真面目にするわけねーだろ」
「マジ？ダメだぞー」

声をあげて笑った。

「じゃ、またな」
「あ、待ってよ！またここで会わない？」

そう問い掛けると、アヤトくんは無言になった。

「……さぁな」

急に強い風が吹いた。
思わず目をつむる。

目を開けたらとき、彼はもういなかった。