【東京喰種】ないから喰われて続く (ページ2)

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第1話ページ2

テレビをつけると、笑顔のニュースキャスターが全国の天気予報を発表していた。
歯磨きをしながら、私はそれを見る。
私の住む東京は快晴だ。
カーテンを開けて空を見てみれば、雲一つない。

世間では日曜日。
家族連れやカップルが遊園地などに大量発生すると予想されます。

しばらくすると、昨日どこかの区で起きた事件についての話題に変わった。
どうやらまた喰種に民間人が襲われ、喰われたらしい。
助けに行った捜査官も、とのこと。
きっと告別式が行われるだろう。

ふと、ずいぶん前にメディアで大きく取り上げられていたバラバラ事件を思い出した。
他県で数人の身体がバラバラにされていたのだ。
人間が人間に対して行ったのだ。
喰種だけでも厄介なのに、世の中は物騒だ。

あの頃は毎日のようにそのニュースが流れ、世間を騒がしていた。
しかし今はどうだ、もうその事件など覚えている人などいないだろう。
情報が一日に何個も入ってくる社会だ、古い情報など忘れてしまう。

その数人の命がなくなったところで、世界はかわらない。
人はかわらず生き続けるのだ。
私の職場では、それが当たり前となっている。
きっと昨日喰われた人達のことも、明日にはほとんどの人が忘れている。
名前も知らない誰かなのだから。

なんて、私は偉そうに語れるほどの人間ではないのだが。
てゆうか、仮にも医療関係の仕事に就いているので、これまでの話はどうかと思う。

「やっば、電車遅れる」

それより今は時間との格闘中。
時間は刻々と迫ってくる。
遅刻なんてしたら先輩に殴られる！

急いで着替えて玄関へ向かった。
ドアを開けると眩しくて、目を細める。

「いってきまーす」

誰もいない、マンションの一室を出る。
数年前から私に「いってらっしゃい」と言ってくれる人などいない。

寂しさなど感じず、私は日曜日なのに出勤する。
だってこれが普通だとなれてしまったのだから。