彼女が死んだ。【文スト】

【き】番外編３〜与謝野晶子の手紙〜 ページ15

彼女が死んだ。
探偵社の敵だった。

急に敦が『与謝野女医！！』って飛び込んでくるモンだから、目が冴えたよ。
深夜にそんな大声で、しかも非番だった妾を呼びつけるなんて余程の事だと思ったねェ。

それで患者を見たら、その患者はポートマフィアの作戦参謀長のアンタだった。
敦の服は負ぶってきたせいか血でベタベタだし、アンタもアンタで生死の狭間を彷徨ってる。

急ぎ治療をしようとしたよ。
ま、アンタは敵でも、時によっちゃあ患者兼友人だからねェ。

だけど、既にアンタは息を引き取ってた。
妾の能力は残念な事に、瀕死は治せるんだけど死者の蘇生までは出来なくてねェ。

首を横に振ったけど、敦が見ないフリしてアンタを押し付けていくモンだからどうしたものか頭を抱えたね。

結局、出来る限り綺麗な寝台で、寝てるみたいにして置いたんだよ。
アンタが本当に良い顔して死ぬモンだから、流石の妾も寝てるのかと思いかけた。
勿論、血色は悪いし、息はしてないし、分かってるんだけどね。

それでも、そう思わずにはいられないんだよ。

敦はショックで当分立ち直れそうな感じじゃあ無かったね。

しかもそのあとポートマフィア上層部が雪崩混んで来たのさ。
全員アンタの事寝てると勘違いしたね。私が首を振るまで本当に安心した顔したんだよ？

医者がどんなに頑張ったって、矢っ張り命は指の隙間から溢れちまう。
何でたってそれがアンタじゃなきゃいけないんだろうねェ。


これ以上は、書いてたら妾の気が違う事になりそうだから辞めとくよ。


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手紙は此処で終わっている。

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患者が、死んだ。

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