彼女が死んだ。【文スト】

【ョ】〜尾崎紅葉の手紙〜 ページ4

彼女が死んだ。
私の拾ってきた娘だった。

御自慢の盗みの腕で、街の人間から財布やら何やらを盗って、貧困街で生活してきたと其方は云った。其方が私と出会ったきっかけは、私が街に出た時じゃったのう。

私から財布を奪おうとした其方を、一度は殺しかけた。
じゃが、其れもつかの間、持ち合わせの武器で私に対抗する。
何とも愚かしい様だが、動きは悪くない。

しかも異能力持ちと来た。

そうして半ば無理矢理に連れ帰ったのう。
ポートマフィアに入っても、何度も私の首を狙った割に、今となっては私を姐さんと慕う。

初めは噛みついていたのが、嘘の様に懐いたのう。

『姐さん！書類やっといたから、置いとくよ』

『姐さん、私作戦参謀長に昇進したんだ！』

『姐さん！私＿＿＿＿＿』


そうやって、私の周りを彷徨いて。
愛らしかった其方の影は何処へやら、今となっては立派になった。

そうかと思えば、今度は居なくなる。

全く、其方は目まぐるしい奴じゃ。一つの形を留めることが出来ぬ。
じゃが、それでもせめて生を保つ事程度、出来ぬ其方ではあるまいて。
自 殺癖の小僧でもあるまいしのう。

幾らでも問い詰めたい事ならある。
聞きたい事も、話したい事も多い。

じゃが、そんな事を一々書き連ねて頁を使う訳にも行くまい。

簡潔に済ませるとしよう。







来世では幸せな人生を送れると良いの。


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手紙は此処で終わっている。

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拾い子の彼女が、死んだ。

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