* ページ5
〜部屋の前〜
イ「着いたぞ、ここが私の部屋だ。」
あ「わぁ!広い。」
さすが一国の王子だ。広い。私には広すぎる。
落ちつかなくて、そわそわしていると
イ「どうした?緊張しているのか?」
あ「へっ!? い、いえ。」
いきなり声を掛けられ、待ってましたとばかりに変な声がでる。しゃっくりまで出そうだ。冗談だが。
イザナ殿下はベッドに深く腰掛け、足と足の間をポンポンと叩いた。
イ「ここに来なさい。」
聞こえた瞬間、身体中の筋肉という筋肉が強張ったが、まさか歯向かえるはずもなく、イザナ様の足の間に座る。
緊張した体を優しく包み込まれる。
こんなことは何回も経験はあるが相手は王子だ。恐れで肩が震え出す。
イ「……綺麗だな、流石月下香の歌姫だ。月の光に照らされる君は妖艶で美しい。」
私の顔が少し歪む。目も合わせられない。
あ「…ありがとう、ございます……。」
イザナ様は私を向き直らせて額にキスし、正面から抱きしめる。
イ「…………取り引きをしないか?」
あ「えっ。」
この人はいったい何を考えているのだろう。さっきのキスも唇じゃ無かったし…。
私はどういう事か問いたくて、イザナ殿下の目を見た。
イ「やっと目を見てくれたな。逸らすなよ?」
コクコク頷く。イザナ殿下の目はやっぱり綺麗だった。夜の闇に一際輝く。
そのままぼーっと見つめていると
イ「……俺に惚れるなよ?」
あ「なっ!? ほ、惚れてませんっ!」
びっくりして顔を逸らすと、イザナ殿下の控え目な笑い声が聞こえた。
イ「いや、そこまで反応するとは思わなかったよ、」クスクス
そんな事を言いながら、まだ笑っている。なんかムカついたので、そっぽ向いたまま尋ねる。
あ「それで、取り引きとはなんですか?」
イ「あぁ、それはな俺に協力してくれないか?」
イザナ様を見ると至って真剣な顔をしていたので、背筋が伸びる。
あ「…というと?」
イ「……団長を捕らえる。お前も知っていると思うが、あの団長は裏取引をしている。国を転々と巡りながらな。」
黙ってその話を聞く。
90人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月華(プロフ) - ぴろろんぱさん» ありがとうございます! (2018年4月24日 16時) (レス) id: 76bcbfb3bf (このIDを非表示/違反報告)
ぴろろんぱ(プロフ) - 月華さん» 再開してくれてほんとによかったです!これからもずっと見続けるので頑張ってください!!! (2018年4月24日 16時) (レス) id: 6a697b7639 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - かりそめの蘇生さん» ありがとうございます!自分でもどうなるか分かりませんが、今後ともよろしくお願いします! (2018年4月24日 15時) (レス) id: 76bcbfb3bf (このIDを非表示/違反報告)
かりそめの蘇生(プロフ) - 続きがずっと気になっていたので、更新再開してくれてすごく嬉しいです!これからも頑張って下さい! (2018年4月23日 15時) (レス) id: 30c6595324 (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - ぴろろんぱさん» ありがとうございます!コメント見て、元気をもらいました!初めての作品で拙い文章ですが、よろしくお願いします。 (2018年4月23日 12時) (レス) id: 76bcbfb3bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月華 | 作成日時:2017年8月25日 21時