月下香の歌姫

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イ「大まかな計画はこうだ。まず１週間目はナノカとの事がうまくいっているようにみせる。ナノカ、何か団長との連絡手段はあるのだろう？」






あ「はい。普段はお客様がお眠りになった後、窓の外に待機している梟を窓辺にこさせ、足についている紙にその日抱かれたら〇を抱かれなかったら×を書きます。その他に団長にとって害があると判断したら、〇を分からないもしくは様子見は△をなければ✕をという感じです。」







ゼ「ほー。お前は随分団長の信頼を得ているようだが？」







あ「えぇ。まぁそうですね、あの劇団の団員の中で一番長く在籍していますから。」







ゼ「何年くらいだ？」







あ「えーと、今年で７年目くらいですね。」






ゼ「な、７年！？思っていたより長い。」






イ「だが、お前が属する前からその劇団はあったはずだ。お前よりも長い年月在籍してる者がいてもおかしくないのでは？」







あ「仰る通りです。私より前にいた人達は、稽古で成果がでないと売られたり、あまりにも酷い働き方をさせられて死んでしまったり、麻薬などの人体実験で殺されたり捨てられたり、遊女の中でもお客様に殺された人もいます。でも何も言えないんです……。私と仲の良かった兄さん姉さんも死にました。」







イ「…そうか。よく頑張ったな。よく生き残ってくれた。」







あ「違うんです。私は……私は生き残る為に人の命を奪いました。だから私は、団長と同じ罰せられるべき人間なんです。」





イ・ゼ「！？」

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