【無題】07 (ページ42)

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華の金曜日とは言いますが 01(兄) ページ42

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｢A～｣

日付が変わった頃、
玄関から機嫌の良さそうな声が聞こえた。

この家のもう一人の主のご帰宅。

｢おかえりー｣

リビングのドアが開いて
顔をほんのり赤くした兄者さんが入ってきた。

｢おーAだ｣

｢はいはい、Aですよ｣

ソファで寛いでいる私の隣に座った兄者さんに
抱き寄せられる。

｢お酒くさい･･･結構飲んだでしょ｣

｢飲んでない飲んでない。全然飲んでないから｣

そう言いながら頬ずりしてくる兄者さんからは
お酒の匂い。

｢Aいい匂い｣

｢兄者さんはお酒くさい｣

｢なんだよ、そんなにくさくないだろ？｣

私の言葉に少しムキになった兄者さんに
頬を包まれた。

顔が近づいて唇が触れて

お酒の香り。

｢お酒の匂いしかしない｣

普段なら香水の匂いがするのに
今はお酒と居酒屋独特の匂い。

随分と飲んだであろうことがわかる。

ふにゃりと笑った兄者さんの体がズルズルとずれて
私の膝の上。

そのまま寝息を立て始めた大きな子供。

無垢な寝顔に思わず母性本能がくすぐられる。

たまにはこういうのもありかも、
なんて思いながら
気持ちよさそうに眠る彼の頭をゆっくりと撫でた。

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