λ Persei 01(乙) ページ41
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｢･････････なに？｣
横から刺さるような視線を感じて
俺は煙を吐き出した。
視線の主は目をキラキラさせてこちらを見ている。
正確には俺の手元。
｢それ、美味しい？｣
彼女が見ているのは手に持った煙草。
｢うーん･･･
美味しいかって言われると答えにくいけど
一息つきたい時とかご飯のあととかは
美味しいって思うかも｣
｢そうなんだ〜｣
ちらりと俺を見上げたその視線は
また手元に注がれる。
(あ、悪い予感･･･)
｢私も吸ってみたい！｣
悪い予感は的中。
俺は彼女から煙草を遠ざけるように体をそらした。
｢だめ。煙草なんて体に悪いしお金はかかるし
いい事ないんだから｣
｢じゃあなんでおついちさんは吸ってるの？｣
｢う･･･痛いとこ着いてくるのね、あなた｣
好奇心旺盛なA。
言い出したら納得するまで引き下がらないのを
俺は重々わかっている。
｢美容にも良くないんだよ、肌にも悪いし
せっかくのキレイな肌がくすんじゃうよ？｣
そう言って雰囲気たっぷりに頬を撫でる。
｢じゃあ一口だけ！｣
(ダメかぁ！！！)
興味を反らせることに失敗した。
｢ねぇおついちさん、お願いっ！
1回だけ！･･･ね？だめ？｣
｢あーもう、ほんと･･･。ほら、一口吸ってみなよ｣
いつもこうやって俺が負けるんだ。
だってしょうがないだろ、可愛いんだから。
一緒に一服、なんてのもわるくない。
そんな事を思いながら俺の吸いかけの煙草を
咥えるAを見た。
｢･･･っ、ゴホッ･･･うえ〜･･･美味しくない･･･｣
｢そうでしょ？だから、はい。おしまい｣
眉を寄せて渋い顔をするAの手から
煙草を取り上げた。
｢だってさ、煙草吸ってるおついちさんカッコイイし･･･
どんな感じなのかなって｣
｢美味しくないんだからもう吸わないの。
わかった？｣
俺の言葉に渋々といった感じで頷いたA。
それを見て俺は残り少なくなった煙草を吸い
煙を吐き出した。
｢じゃあ私はこれで我慢する〜｣
そう呟いたAが体を伸ばしたかと思えば
唇が触れた。
｢煙草の味する｣
ニンマリと笑う彼女に本日二回目の敗北を期した。
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年4月21日 2時
