恋せよ乙女 01(兄) ページ19
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私が通う女子高とグラウンドを挟んで
向かい合ってる男子校。
ただでさえ男子って苦手なのに
体育の時間が被る時なんてほんとにやだ。
｢あそこのグループ可愛くない？｣
｢まじ？どれどれ？｣
その声から逃げるようにフェンス際から離れる。
男子ってどうせ一日中
そんな話ばっかりしてるんでしょ。
ほんと苦手･･･。
｢･･････！｣
ワイワイと盛り上がっている男子達の奥、
背の高い人が目に入った。
リフティングをしているその人は周りの男子より
頭一つ飛び抜けた身長、がっしりした体つき。
いとも簡単そうにボールをさばく姿に
視線が奪われる。
(･･･かっこいい)
そう思った瞬間バチッと目が合った。
思わず見入ってしまったことに気づいて
慌てて視線を逸らしその場から離れる。
その後、体育の授業で見かけた男子のことが
頭から離れない。
周りの男子みたいに女子を
ジロジロ見ることもなくて
リフティングする姿がかっこよくて･･･。
放課後、渡り廊下から見えたグラウンド。
そこにはサッカーのユニフォームを着たその人が。
その瞬間周りにいた女子が色めきだった。
｢やだ、あれ兄者さんじゃん！｣
｢やばっ、めっちゃカッコイイ！｣
｢彼女とかいるのかなぁ｣
｢三年の先輩がふられたらしいよ？｣
｢マジで？｣
そんな話を横で聞きながら
女子も男子もあんまり変わらないな、
なんて思いつつ校舎に入った。
(やっぱりモテるんだ･･･)
私なんて･･･。
さっきの女子達の話が頭の中をぐるぐる。
それを紛らわすように
カバンを持って下駄箱に向かう。
玄関を出たところで足元に
サッカーボールが転がってきた。
ボールから視線を上げればそこには
あの人が。
｢あ、すみません。｣
｢いえ･･･｣
ボールを拾い上げ手渡す。
近くだ見るとやっぱり大きい。
｢ありがとう｣
軽く笑顔を見せ手を上げて走っていく後ろ姿を見送った。
びっくりするくらい心臓がうるさく鳴っている。
サッカーボールを手渡した手を
強く握って学校をあとにした。
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年4月21日 2時
