検索窓
今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:103,753 hit

愛妻弁当とは? 01(兄) ページ37

ーーーー




「A、こっち」

ベッドから兄者さんが私の名前を呼びながら
手招きする。

「お待たせしましたー」

「待った待った」

兄者さんは楽しそうに笑いながら
ベッドに歩み寄った私の腕を取って
中へと招き入れてくれた。

その瞬間、兄者さんの香りに包まれる。

「A来んの遅いって」

「明日のお弁当の準備してたんだよ?
明日からいるんだから。兄者さんの分も」

「ん、楽しみにしてる」


大学に入学した私。
これを機にお弁当を作ろうと
昨日、張り切ってお弁当箱やお箸を買いに行った。
その時一緒にいた兄者さんが
「俺も」と言い出したのだ。

そして揃えた二人分のお弁当セット。




「兄者さん、社食あるんじゃないの?」

「あるけどいいんだって。Aの弁当食べるから」

「ふぅん」

軽く流すような返事をしつつも実際は凄く嬉しい。
だって彼のお弁当作るなんて奥さんみたい!

嬉しさを隠すように兄者さんの胸元に顔を埋めた。

いっそう強まる香りに鼓動が大きくなる。



と、不意に頭を撫でられて顔を上げた。

「A、いい奥さんになるな、俺の。」

「!」


まるで心の中を見てたかのような言葉に驚いた。
だけど赤くなった私の顔は兄者さんには見えないはず。

「愛妻弁当期待してる」

そう言ってくすくすと笑う彼が憎らしい。
甘い新婚生活のような日々を想像して
ゆっくりとまぶたを閉じた。









「A、ピザって弁当に入れられないの?」

「入れられません」



「Aデザートはパフェがいい」

「カフェで食べてきて!」



「Aー」

「文句言うならもうお弁当作らないから!」


兄者さんのわがままに振り回されることになるのは
もっと先の話。




ーーーー

Friday the 13th 01(弟)→←02



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
122人がお気に入り
設定タグ:2bro , 兄者弟者 , おついち   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:そすんさー | 作成日時:2018年3月12日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。