俺の下心は空回り 01(乙) ページ31
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(あ、いたいた。)
キッチンにいるAを発見。
後ろから抱き締めようとこっそり近づいて
体に腕を回・・・
「わっ」
「痛っ!!」
(もー・・・タイミング悪すぎでしょ。)
抱き締めようとした瞬間振り向いたA。
その手にはミルクパン。
いい音を立てて俺の手にクリーンヒット。
「ごめんなさいっ、大丈夫ですか?!」
慌ててAがミルクパンを置いて俺の手を取る。
「すみません、いきなり振り返ったりしたから・・・
痛かったですよね・・・」
申し訳なさそうに眉を下げて
少し赤くなった手の甲を撫でてくれる。
「ううん、大丈夫だよ。
心配してくれてありがとう」
そう言いながらAの手を握り返そうとした時
インターフォンが鳴った。
「あれ?誰かな・・・」
俺の手の中からスルリと抜けた小さな手。
パタパタと玄関に向かってしまう俺の恋人。
「っはぁー・・・タイミング悪すぎやしません?
っんとにもぉ・・・」
ボヤいてる俺のところに荷物を持ったAが
戻ってきた。
「おついちさん、実家からイチゴ送られてきたから
一緒に食べましょ」
嬉しそうに笑うA。
(あーもう、可愛いなぁほんとに!)
準備しますね、ってまたキッチンに向かうAの
後ろ姿をまじまじと眺める。
(今なら・・・!)
いちごを洗っているAを今度は
横から抱き締めようと腕を回す。
「あっ」
回した俺の腕は虚しく空を切った。
Aはといえば落ちたいちごを拾い上げてる。
「・・・?おついちさん、どうしたの?」
いちごを拾ったAが不思議そうに見てくる。
やめてくれ、見ないでくれ!
「ううん、なんでもないよ」
「そうですか、いちご食べましょう」
お皿に盛られたいちご。
真っ赤に熟れててすごく美味しそう。
「うん、食べよう」
今日はついてないな、ほんと。
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作者名:そすんさー | 作成日時:2018年3月12日 0時