【無題】06 (ページ15)

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Al Kaff al Khadib 01(兄) ページ15

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どうして兄者さんを選んだのか、って
聞かれたら私はきっと
｢兄者さんが兄者さんだったから、
私が私だったから｣って答えると思う。

それは今も昔も変わらない。

｢Aってさ、兄者のどこ好きになったの？｣

弟者くんが不思議そうに尋ねてくる。

｢うーん･･･どこって言われても･･･｣

｢だってさ、今日も兄者一人で
バイク走らせてるじゃん｣

｢そうだね｣

週末になると兄者さんは趣味のバイクで
走りに行く。

｢平日頑張って働いてるんだから
いいんじゃないかな｣

そう言っても弟者くんはどこか納得してない表情。

さっきから、でもさーとかだってさー、って
繰り返してる。

｢兄者はもっとAに優しくするべきだ！｣

｢俺がなんだって？｣

弟者くんの言葉に間髪入れず兄者さんが反応した。

｢おかえり、早かったね｣

｢ん。たまにはな｣

弟者くんを睨んでいる以外には
いつもと変わらない態度。

別に冷たいとも思ったことないし、
むしろベタベタに優しい兄者さんとか怪しすぎる。

･･････そういえば学生の時も
クラスの子に同じこと言われたな。

『AA！
兄者さんと付き合ってるってほんと？！』

『ほんとだよ』

『うそ！騙されてるよ絶対』

『どうして？』

『だってAに全然優しくないもん！』

ふふ、懐かしいなぁ･･･。

｢弟者、なにAに吹き込んでんだよ｣

二人分のコーヒーをテーブルに置いた兄者さんは
居心地悪そうな弟者くんを鼻で笑う。

｢もー。Aなんで兄者のこと好きなの！｣

｢どういう意味だよ！｣

｢ふふっ｣

なんだか微笑ましい光景、なんて呑気に思いながら
コーヒーを一口。

なんでって、それはね･･･

兄者さんが兄者さんだったから、
私が私だったから

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