【無題】06 (ページ13)

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【夢でもし逢えたら】06(弟) ページ13

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“A･･･”

『弟者くん、さっき･･･』

“そっか、別の夢のAか”

『別の夢？』

“俺、Aに悪いことしちゃった”

(あれ･･･？)

『弟者くん･･･？』

“ごめん･･･Aの声、聞こえないんだ。
きっと夢が違うから”

(夢が違う？)

“よくわかんないと思うけど
今目の前にいる俺は別の夢の俺で･･･
だから声が届かないんだと思う。
そのまま、聞いてほしい”

声が届かない代わりに小さく頷いた。

“さっき、Aに大切なことを伝えたんだ。
だけど、そのせいでAを困らせちゃって･･･
多分、もう俺の夢じゃAに会えなくなるんだ”

大切なことっていうのはきっと
さっき聞き取れなかった言葉。

弟者くんの夢の中の私が困ったから、
だからもう会えないってどういうこと？

私だけ夢の記憶がないのはそれが原因？

わからないことだらけだけど
頭の中のモヤは少し薄くなった気がした。

“でもここにAがいるってことは_______”

『え･･･弟者くん、聞こえない･･･』

声が途切れたと同時に弟者くんの姿が
薄くなっていく。

“･･･だから･･････A、･･･もう一回･･････”

･････････。

もう弟者くんの声は聞こえない。

姿ももうない。

真っ白い空間で、また一人になってしまった。

でも、ひとつだけ、はっきりわかることがある。

『弟者くんに会わなきゃ』

会って聞かなきゃ。
弟者くんが私に伝えた大切なこと。

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