交錯する想い 01(乙) ページ42
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「昨日さ、飲んでたらすっごい綺麗なお姉さんに
声かけられて」
「最近できたカフェでお姉さんと知り合ったんだよね」
「あ、この間のお姉さんから連絡だ」
「・・・・・・」
「A・・・」
「おい、顔やばいぞ」
私を見て心配そうにする弟者くんと
苦笑する兄者さん。
「んー・・・」
2人の言葉に顔に手を当ててムニムニする。
「ふぅ・・・大丈夫だよ」
私の言葉に兄弟は相変わらず困ったような
表情を浮かべる。
「おついちさん、どうにかなんないの?」
「なんないでしょ、注意するのもおかしいしさ」
「でも・・・」
「ありがとう、弟者くん」
どうにかできるならどうにかしたい。
おついちさんの、女癖。
「付き合ってねえんだからどうにもできないんだよな」
「そうなんだよね・・・」
おついちさんがモテるのは知ってるし、わかる。
私は、そんなおついちさんに
恋心を抱いてしまった。
その恋心を目の前の兄弟は知っている。
だからこそ、こうやって心配して
声をかけてくれる。
おついちさんはと言えば、
知り合ったばかりの女の人から
電話がかかってきたと席をあけている。
「俺、ちょっと出かけてくるね〜」
ガチャリと開いたドアから顔を出した
おついちさんはそう言って
嬉しそうに出ていってしまった。
「うん、いってらっしゃーい」
おついちさんに手を振って見送る。
本当は行って欲しくなんかない。
「A大丈夫?」
「お前さ、よく笑って行ってらっしゃいなんて
言えるな」
「だって縛れないし、行かないでなんて言う権利ない・・・」
私はおついちさんの彼女でもない。
ただの友だち。
「友だちとしてでも一緒に居られたら・・・・・・」
(あれ?)
膝の腕で握った手にポタリと何かが落ちた。
「Aっ」
弟者くんに抱き締められる。
「無理すんなよ、ほんと心配だわ・・・」
兄者さんの大きい手が頭を撫でる。
頬を何かが流れるのがわかる。
(あ・・・私今、・・・泣いてる・・・)
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作者名:そすんさー | 作成日時:2018年3月12日 0時