【お花見】花衣 01(兄) ページ26
ｰｰｰｰ
｢Aー、まだ？｣
｢もうちょっとー･･･もうすぐだから｣
夜桜でも見に行こうと思ってご飯の後に
Aに声掛けたら慌てて部屋に
こもってしまった。
すぐ出てくるかと思ったけどなかなか出てこない。
軽いつまみやお菓子を袋に入れてすぐにでも
家を出られるのに･･･。
｢Aー｣
｢はいっ！おまたせ！｣
｢おっ･･･！？｣
部屋から出てきたAは着物姿。
って言ってもキラキラした派手な着物じゃなくて
なんていうんだ？普段着？
･･････よくわかんないけど。
｢待たせてごめんね、羽織探してて｣
｢あ、うん。別にいいんじゃないか｣
｢あっ！もしかして兄者さん照れてる？｣
楽しそうな笑みを浮かべてAが近づいてくる。
シューズボックスから出した
草履を履くAの後に続いて家を出た。
｢ふふっ･･･なんだか新鮮ですね｣
横を歩くAが腕を掴んでくる。
｢･･･ん｣
腕が組みやすいように少し隙間を開ければ
すぐにAの腕が周って距離が近づいた。
少し歩けば大きな桜の木が見えてきた。
昼間は子供たちで賑わう公園だけど
夜は静かだ。
桜の木の下にあるベンチに座る。
｢夜桜･･･いいですね･･･｣
そう呟くAを横目で眺める。
(なんで着物･･･)
普段と違う雰囲気。
月の光にぼんやり照らされた横顔。
なんか･･････
｢ん？どうしたの？｣
｢え、あぁ。べつに。･･･なんで着物なんか｣
｢夜桜見に行こうって兄者さんが言うから
なんかちょっとおしゃれしたくなって｣
なんだそれ、可愛いな･･･。
出会った当初はたわわにしか目がいかなかったし
Aには絶対言わないけど、名前覚えるまで
俺の中で｢たわわちゃん｣って呼んでたし･･･。
絶対言わないけど･･･。
にしても･･･やっぱり着物のうなじっていいな。
(外だけどちょっとくらい･･･)
完全に自分の欲に負けて白いうなじに口を寄せた。
｢！！ちょっと、兄者さんっ｣
すぐに気づいたAが俺の顔を掴んで
無理やりはがす。
(これ、完全にアイアンクロー･･･)
｢だってせっかくAが着物きてるから｣
｢もー･･･｣
困ったように唇を尖らせながらも
少し体の向きをかえるA。
少し体を伸ばしたかと思えば頬に軽く当たる唇。
｢え、A･･･？｣
｢･･････今日は特別だから｣
い、今すぐ帰りたい･･････！！！
ｰｰｰｰ
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年3月12日 0時
