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【仮面はここに置いていく】04(弟) ページ9

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「Aちゃん、おはよう!」

「おはようございます」

今日は俺がこの家に来て初めて
Aちゃんと外出する日だ。

なのにこの子、いつもと全然変わんない。

「弟者さん、今日のスケジュールなんですけど。」

「ん?」

「朝勉強して、夕方からお稽古でいいんですか?」

「うん、勉強終わったら教えて?
一緒に出かけよう」

「・・・はい」

ちょっとの間。
もしかして乗り気じゃない?

まぁ、でも出かけてみたら
案外楽しめたりするからな。


俺は昨日のうちに色々調べて置いたページを開いた。

聞いたところによるとAちゃんは
両親と出かけてもついて行くだけ。
女の子が好きそうな流行りのカフェとか
お店には全然行ったことがないらしい。

だから今日は一杯連れまわそう。





昼前になって、ドアがノックされた。

「弟者さん、勉強終わりました」

「うん、お疲れ様!じゃあ出かける支度しよう」

「はい」



そういって部屋に帰ってからしばらくが経った。
Aちゃんが部屋から出てくる気配はない。

「Aちゃん、準備できた?」

「あ、はい・・・一応・・・」

ドアをノックすれば控えめな声が聞こえた。
中に入ればしっかり支度を済ませたAちゃんが
鏡で服を確認している。

「あ、あの・・・どんな服を着ればいいかわからなくて・・・」

Aちゃんはそう言うけど服は似合ってるし
合わせて用意されたバッグも可愛い。

なんにも問題ないじゃん。

「それじゃダメなの?すっごい似合ってるよ?」

「・・・・・・そうですか。じゃあこれにします」

俺の言葉にAちゃんの顔が
少し赤くなった気がした。

(お、珍しい)

あまり見れない表情が見れてちょっと嬉しくなる。

「じゃ、行こっか!」

「はい」


俺はAちゃんを連れて家を出た。

電車に乗って、それから街に出て・・・。
予定を確認しながら駅に向かって歩いていれば
横からAちゃんが見上げてきた。

「あの、車とかタクシーは・・・」

「え?駅すぐそこだよ?」

「駅?電車に乗るんですか?」

「うん」

(あれ?)

そこで俺は気が付いてしまった。
この子、普段電車にすら乗らないのではないか、と。



「Aちゃん、もしかして普段電車乗らない?」

「乗ったことないです」

マジか!

「なら初めての電車だね」



きっと今日はAちゃんにとって
初めてだらけの一日になるんだろうな。




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設定タグ:2bro , 兄者弟者 , おついち   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:そすんさー | 作成日時:2018年2月3日 0時

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