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White Stock 01(乙) ページ8

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フワリと笑った顔が好き。




「おついちさん、それ新しい服?」

「そうだよ、よくわかったね」

「やっぱり〜」

そういって彼女は嬉しそうに笑った。

「その服いいね、おついちさんにすっごく似合ってる」

「Aにそう言ってもらえると嬉しいな。
買ったかいがあったよ」

「そう?よかった!」

彼女はA、俺の幼馴染だ。

俺はAに内緒にしていることがある。
それは好きだという気持ち。



「そういえば、最近彼氏とはどうなの?」

「うーん、ぼちぼち?」

「ぼちぼちってなんだよ」

そう言って笑い合うけど内心全然面白くない。
かと言って自分の気持ちを伝える気もない、
ずるい奴なんだ俺は。

そうすれば、ずっとAと一緒にいられる、
幼馴染という立ち位置で。

別れる心配もない。

現に今までAは、
何人かの男と付き合ってきたけど
結局そいつらとの関係に別れは訪れる。


「なんかねー、もしかしたら彼、浮気してるかも」

「は?」

「友達が教えてくれた。多分浮気だって」

「ろくでもないな。もう別れなよ、
Aの時間が無駄になるよ。
Aが辛い思いするの、俺は嫌だな」

「そうだよねー・・・話してみる」




そう。
こうやって別れさせてきたんだ。

悩み事に付け込んで、ろくでもない彼氏だと言って。


「おついちさんは優しいよね、
オシャレだし気もきくし・・・。
どうして彼女ができないんだろう」

「どうしてだろうね」


A以外には興味ないからね。


「私、ろくな人と付き合ってない気がするなぁ〜・・・
おついちさんと付き合おっかな」

「またまたー」

やめてよ、そういうこと言うの。
何年、気持ちを隠してきてるか知らないでしょ。

心の中の動揺を隠すのは得意。
軽く笑って流すフリをして、頭の中で
Aの言葉を何度も反復させる。


「まぁ、いい人が現れるよ。
Aがいい子なんだから」

「ふふ、ありがとう」

その顔、俺だけに向けてくれたらな・・・。




こうやって俺は、これから先も
Aの彼氏をろくでもない奴と称していく。




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設定タグ:2bro , 兄者弟者 , おついち   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:そすんさー | 作成日時:2018年2月3日 0時

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