【仮面はここに置いていく】09(弟) ページ43
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週末、Aちゃんの両親が帰ってきた。
Aちゃんは朝から少し緊張気味だ。
｢久しぶりね｣
｢お久しぶりです、お帰りなさい｣
｢少ししたらご飯にしよう｣
｢はい｣
相変わらず家族とは思えないくらい堅苦しい会話。
食事には俺も呼ばれた。
食事中も相変わらず堅苦しい。
いつもだったらAちゃんと話をしながらだけど、
今日はそれもない。
ある程度食事が終わったところで
Aちゃんが口を開いた。
｢お父さん、お母さん。少し話があるんです｣
｢何かしら｣
Aちゃんのお母さんは
フォークとナイフを置いて視線を向ける。
｢あの･･･私･･････、
弟者さんともっと一緒にいたいです｣
Aちゃんの言葉にお母さんが苦笑する。
｢何を言うのかと思えば。
弟者さんとは私達が帰ってくるまでという契約なの。
わかっているでしょう｣
｢･･･そうですけど･･･｣
俺は横から口を挟むわけにもいかず
ただ行方を見守るしかできない。
お父さんはAちゃんの様子を眺めている。
｢二人が旅行に行っている間、
勉強やお稽古の空いた時間を使って、
弟者さんに色々なところに連れて行ってもらいました。
プレゼントももらったりして、
すごく楽しかったんです｣
その言葉に両親の視線が俺に向けられる。
｢それは本当なのかい。どこに行ったんだ｣
｢ほんとです。
もちろん、勉強や稽古は疎かにしていませんよ。｣
｢まぁ疎かにならないために貴方を雇ったんですからね。
それで、どこに行ったんです？｣
｢ティーカップが好きだって聞いたんで、
カップが売ってる雑貨屋や流行りのカフェとかに。｣
両親は俺の言葉に少し不思議そうな表情。
｢A、外で買い物が出来たから弟者さんと
一緒にいたいのかい？｣
｢いいえ。私、今までお父さんやお母さんに言われるままに
過ごしてきました。
だけど弟者さんは私のしたいことを聞いてくれて、
私も自分がやりたいことを考えられるようになりました。｣
淡々と話す様子は今までと変わりないけど、
どこか声に芯があるように思えた。
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年2月3日 0時
