検索窓
今日:14 hit、昨日:12 hit、合計:113,442 hit

02 ページ19

ーーーー




「すみません、もう閉店で・・・」

入口にはお昼に来た帽子のお兄さんが。

(あれ?一人だ)

「もしかしてチョコもう売り切れちゃいました?」

「はい、申し訳ないですが・・・」

お兄さんの視線が謝る私の手元に注がれる。

「あっ・・・すみません、これさっき私が買ってしまって・・・
もう閉店のつもりだったので・・・」

さすがにこれを売るわけにはいかない。
でもどうしてお兄さんが
チョコを探しに来たんだろう・・・。

「それってさ」

じっと手元を見ていた視線が上がり目が合う。

「誰かにあげるの?」

思ってもみなかった質問。
まさか自分用ですだなんて、恥ずかしすぎる・・・。
でも最近は、
頑張った自分へのご褒美なんて言葉もあるし・・・

「売れ残ってしまったので、お家で食べようかと」

「そうなんだ・・・じゃあ、ラッピングのリボンは
緑でよろしく」

「え?」

「リボン、緑でお願いします」

ちょっとよくわからない。
何言ってるんだろう、このお兄さん。

状況を理解できないまま
言われた通り緑のリボンでラッピング。

「こんな感じでよろしいでしょうか」

「うん。お代はちゃんと払うからさ、
それ、キミからってことで俺にちょうだい?」

「・・・?」

ますます訳がわからない。

心の声が表情で伝わったのか
お兄さんはニッコリ笑ってラッピングされた袋を指差す。

「キミからのチョコが欲しいんだけどな。
ダメかな?Aちゃん」

「えっ、名前、・・・どうして」

あ、名札か・・・。

「もう閉店ってことはあがりだよね?
向かいのカフェで待ってるから。
また後でね」

返事をする間もなくお兄さんは
軽く手を振ってお店を出ていってしまった。

手を振る姿がなんともスマートだ。


(じゃなくて・・・っ)


まだよく状況がわからないまま
私は緑のリボンがかかった袋を見つめた。




ーーーー

今日はお菓子の日 01(乙)→←【バレンタイン】01(乙)



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.6/10 (91 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
128人がお気に入り
設定タグ:2bro , 兄者弟者 , おついち   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:そすんさー | 作成日時:2018年2月3日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。