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｢おばあちゃん！久しぶり！｣
｢Aちゃん元気にしてたかい？｣
｢うん！おばあちゃんも元気そうでよかった〜｣
おばあちゃんに会うのは小さい頃以来。
この近くに引っ越すことになり、どうせならと
おばあちゃんの家の近くで部屋を借りることにした。
よく思い返してみれば、あの日以来かもしれない。
ここに来るのは･･･。
｢昔はよく来てたよね、ここの裏山とか川とか
いっぱい遊んだなぁ〜そういえば裏山で迷子に･･･｣
｢Aちゃん、おじいちゃんに挨拶しておいで？｣
ふいにおばあちゃんが口を開いた。
おじいちゃんは私が産まれる前に他界していて
仏壇に飾られた額縁の中で凛々しい笑みを浮かべている。
仏前に手を合わせおじいちゃんに挨拶を済ませ
居間に戻る。
｢おばあちゃん、私まだ荷解きがあるから
また来るね？｣
｢うん、いつでもおいで。･･････Aちゃん｣
｢ん？｣
玄関でおばあちゃんに手を取られた。
手に持たされたのは鈴の着いた御守り。
｢おばあちゃん、これ･･･｣
｢Aちゃんのためにもらっておいたんだよ。
きっと護ってくれるからね。
それから･･･暗くなる前に山道は抜けるんだよ｣
｢うん、ありがとうおばあちゃん！またね｣
持たされた御守りを大切にカバンにしまい
おばあちゃんの家をあとにした。
山道はすぐに暗くなる。
それは昔迷子になった時に身にしみた。
｢･･････｣
ふと、足を止めた目の前には二手に分かれた道。
右は私の家へ、左は昔おばあちゃんとよく来た鳥居。
久しぶりに鳥居を見たい、そんな気になったけど
止めておいた。
空は既に茜色に染っていたから。
右の道へ視線を戻し、家へと足を進める。
｢ ｣
｢･･･？｣
風の音？
草の音？
不意に耳を掠めた音は鳥居に続く道からのように思えた。
家に帰る頃には辺りは真っ暗。
都会と違って街灯も少ない。
ちょっと心細い気持ちになりながら足早に家に入り、
残りの片付けに取り掛かった。
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年12月8日 6時
