応力集中 01(兄) ページ47
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小さい頃、Aは
俺に子供扱いされて拗ねてた。
弟者にゲームで負けて拗ねてた。
そんな俺達も大人になった。
就職もしたし、お酒も飲める。
それでも三人で会うのは変わらない。
｢お疲れー｣
仕事のあと、居酒屋で待ち合わせをした俺達は
グラスを合わせ乾杯をした。
｢ここの唐揚げすっげー美味いから絶対注文する｣
｢そうなの？食べたい！｣
弟者とAが目を輝かせて
メニューを覗き込んでいる。
俺からすれば、Aも妹のようなもの。
弟者よりは歳上だけど。
｢兄者さんは？何食べる？あ、ピザはないからね｣
｢わかってるって｣
からかうように笑うAを軽く睨み
食べたい料理を注文。
しばらくすれば各々が注文した料理が並び
一斉に箸をつけた。
｢うまっ！やっぱ唐揚げは別格･･･！｣
｢ほんとだ！美味しい〜兄者さんも食べて！
美味しい！｣
Aが今すぐ食べろと言わんばかりに
俺の取り皿に唐揚げをのせる。
｢はいはい･･･｣
ひと口食べた唐揚げは確かに美味しい。
｢うま･･･！｣
｢でしょー！｣
｢だろー！｣
まるで自分が作ったように誇らしく笑う二人に
思わず吹き出す。
｢なに笑ってんだよ兄者･･･
あ、ちょっとごめん。電話だ｣
そう言って弟者が席を立った。
｢弟者くん、いつもの友達かなー｣
｢フットワーク軽いからな｣
｢兄者さん、それちょーだい！｣
俺の話を聞いているのかいないのか
Aが俺の注文したねぎま串を指さす。
｢ったく、ねぎはいらないくせにな｣
｢よくご存知で！｣
｢ごめん二人とも！
引越しした友達が帰ってきてるらしくてさ
ちょっと行ってくる！｣
そう言って弟者はビールを一気に飲み干し
慌ただしく出て行った。
(･･････そういえば、大人になってから
Aと二人って初めてだな)
そう思うとなぜか今になって
Aを意識してしまった。
目の前で美味しそうに料理をほお張るAから
目が離せない。
ふと、俺の視線に気づいたAと目が合う。
その瞬間柄にもなく
ドキッとしてしまった自分が恥ずかしい。
｢･･･え。あげないけど｣
(･･････気のせいだわ)
｢そんなんじゃねえよ｣
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年12月8日 6時
