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ｰｰｰｰ
｢〜♪｣
朝から頑張って作ったチョコケーキは
初めてにしては上出来。
お母さんにも褒められた！
そのケーキと、漬けてあったぶどう酒をカゴに入れて
またあの森へ足を運んだ。
｢兄者さーん｣
昨日みたいに彼の名前を呼べば茂みの奥から
彼が現れた。
いつからそこにいたんだろう。
｢なんか今日は豪華じゃない？｣
｢えへへ、わかります？今日は私が作ったケーキと
ぶどう酒を持ってきました｣
｢おぉっスゲー！｣
子供のように目を輝かせる彼に
思わず私まで嬉しくなるような気がする。
｢せっかくなんで、ゆっくり座って食べませんか？｣
｢そうだな｣
倒れた木の上に座って
ケーキを食べる兄者さんを眺める。
ぶどう酒をカップに注いで手渡せば
美味しそうに飲んでくれた。
｢めっちゃ美味しいじゃん！
あれ？もうない･･･、ごちそうさま｣
｢喜んでくれて良かったです。
わっ、兄者さん顔真っ赤ですよ｣
顔だけではなく耳も首も･･･
(あれ？)
不意に首元に視線が止まる。
(なんだろ･･･)
無意識のうちに手が伸びて、
赤くなった首筋に触れた。
｢･･･？｣
彼の首はひんやりと冷たく、
吸い付くような、ツルリとした不思議な手触りだった。
｢兄者さ･･･！？｣
視線を上げた先、兄者さんの瞳がスッと細くなる。
腕も首筋と同じ、手も、それに足も･･･顔も･･･
一部だけど、それが人間の肌じゃないことくらい
すぐにわかった。
(蛇･･･)
｢あ、やべ･･･｣
小さく呟いた彼の体がグラリと揺れる。
｢！！｣
咄嗟に体を支え、顔を覗き込めば
先ほどよりも人の肌が占める範囲は少なくなっていた。
｢ごめん、A･･･俺、帰る･･･この姿見られたら･･･｣
申し訳なさそうにしながら、
ふらつく体で立ち上がり歩きだそうとする兄者さん。
家がどこなのか知らないけど、
とてもじゃないけど、
今の状態で1人で帰れるとは到底思えない。
｢私、送ります！｣
立ち上がって体を支えるように腕を回す。
｢いや、でも･･･｣
｢いいから。
ほら、家どっちですか？案内してください｣
自分でもちょっと強引かと思ったけど
あのまま1人で行かせられない。
その気持ちの方が強かった。
私は兄者さんの案内に従って
森の奥へと足を進めた。
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年12月8日 6時
