心はポストリュード 01(弟) ページ4
ｰｰｰｰ
｢お疲れ様です｣
｢A先輩それ持ちますよ？｣
｢大丈夫だよ、ありがとう｣
｢･･････｣
どうやったら男として見てもらえるんだろう。
A先輩はいつもの調子だし。
｢弟者くん、どうしたの？考え事？｣
みんなが帰ったあとの部室。
考え込んだ俺はどうやら難しい顔をしていたらしい。
不思議そうに首をかしげながら覗き込んでくる先輩。
｢･･･っ！！？｣
思っていた以上に近い距離に飛び退いてしまった。
｢あははっどうしたの？そんなにビックリして｣
俺の様子を可笑しそうにするA先輩は
パシパシと軽く俺の腕を叩く。
｢･･･先輩･･････｣
思わず先輩の手を掴んでしまった。
｢え･･･｣
想像していた以上に細い手首。
華奢な腕。
改めて女の子ってことを認識して掴んだ手が熱くなる。
｢弟者く･･･｣
不思議そうに見上げた瞳が愛しくて
小さく開いた口が愛しくて
そこから発せられる声が愛しくて
気づいた時には抱き締めていた。
小さな体を腕の中に閉じこめて温もりを感じる。
｢もう、弟者くんどうしたの？｣
こんな状況なのにA先輩はいつもと変わらない。
(そんなに俺、魅力ない？)
そう思ったら体が勝手に動いていた。
A先輩を壁に押し付けて
逃げられないように手をつく。
｢弟者･･･く、ん･･･？｣
この状況になっても俺の腕の中から逃げようともしない。
なんなの、もう･･･。
｢A先輩、
俺の事ただの年下の後輩だなんて思わないで｣
｢どういう、こと･･･？｣
キョトンとしたままの先輩の顎を掴み
上を向かせて唇を重ねる。
｢こういう事｣
ｰｰｰｰ
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年12月8日 6時
