囁かなギフト 01(乙) ページ21
ｰｰｰｰ
｢はぁ･･･｣
年末だというのに終わらない仕事。
壁にかけられた時計の短針が9を指している。
嫌味な上司に押し付けられた仕事。
断るのが苦手な私は
渋々仕事を引き受けることしか出来ず 今に至る。
｢ふぅ･･･｣
一息つこうとディスプレイから視線を外す。
(目が疲れる･･･)
少し眉間にシワを寄せため息をひとつ。
と、誰かが入ってくる足音。
(年の瀬に大変な人がほかにもいるんだな)
そんなことを考えていれば不意に顔を覗き込まれる。
｢やっぱりいた｣
｢･･･！？、おついち先輩｣
笑みを向ける相手はおついち先輩。
｢どうして･･･｣
｢いや、帰り際あいつから仕事押し付けられてるの見てさ
Aちゃんの事だから絶対一人で残って
頑張ってるだろうと思って｣
そう言って差し出されたのは缶コーヒーとゼリー。
｢これ、差し入れね｣
｢すみません、ありがとうございます｣
ありがたく差し入れを受け取り掛けていたメガネをとる。
一口食べたゼリーがすごく美味しく感じる。
きっと先輩がくれたからだろう。
｢ゼリー、好き？｣
｢はい。このシリーズ好きで･･･それに
おついち先輩からの差し入れだから｣
思わず本音がポロっともれる。
きっと疲れていて頭が回ってないんだ。
｢Aちゃん｣
｢･･･はい｣
不意に先輩に頭を撫でられ、ドキッと胸が高鳴る。
｢無理しないで、俺を頼ってよ｣
｢ありがとうございます･･･｣
頼りなく思われているように感じ、少し視線を落とした。
｢こんなに帰るの遅くなっちゃ、
ご飯誘いにくいでしょ？｣
｢え･･･？｣
｢だから、ご飯に誘わせて？｣
予想もしていなかった言葉にキョトンとしてしまう。
｢あの･･･ご飯って･･･｣
｢あぁ、いきなりでビックリするよね。
職場じゃゆっくり話せないじゃない？
だからご飯に誘いたくてさ。だめかな？｣
ダメなわけない。
そんな顔で見つめられて
断れる女性はいないんじゃないかな。
｢ダメ、じゃないです｣
｢よし。じゃあ今度改めて誘わせてね｣
爽やかにウインクする様子に
私の胸がうるさいくらい高鳴った。
｢はい、よろしくお願いします｣
ｰｰｰｰ
Remains 01(兄)→←【インソムニア】暗の息 03(弟)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：そすんさー | 作成日時：2018年12月8日 6時
