心はプレリュード 01(弟) ページ3
ｰｰｰｰ
｢先輩｣
｢あ、弟者くん。お疲れ様｣
部活のマネージャーであるA先輩。
俺は部活紹介で初めてA先輩を見て、
この部活に入ることを決めた。
不純な動機で始めた部活だけどやり始めると楽しい。
それに、なによりこの部活にはA先輩がいる。
｢よかったら一緒に帰りませんか？｣
勇気を持って一言。
｢ごめんね、日誌書かなきゃ行けないから｣
｢じゃあ待ってますよ｣
食い下がる。
日誌各時間くらい宿題してたらあっという間だろ。
｢だーめ。もう遅いんだから早く帰らなきゃだよ？｣
｢･･････｣
先輩はこうやって俺を子供扱いする。
一個の年の差ってこんなに大きい訳？
｢A先輩だって女の子でしょ。
遅いんだから俺、送っていくんで｣
｢もう、大丈夫だよ。心配しないで。
それより、ほら。もう帰らなきゃ｣
あー･･･追い出されちゃった。
(くそ･･･)
1年、という壁が俺の前にそびえ立つ。
また明日だ。
また明日誘おう。
｢兄者･･･1年の差ってなんでこうでかいのかな｣
｢お前まだあの先輩狙ってんの？
脈なしだろ、絶対｣
｢でも断られてないし。
それに子供扱いしてるだけっていうか
俺の事男として見てないというか･･･｣
前からちょくちょく兄者には相談してる。
たまにおついちさんにも。
｢お前、それはもう男見せるしかないだろ｣
｢男みせるって言ってもなぁ･･･｣
それが出来てたら苦労してないって。
｢A先輩おはようございます！｣
｢おはよう、弟者くん。早いね｣
朝練の準備をしてくれている
A先輩の手伝いをするのが俺の日課になってる。
｢準備手伝わなくていいんだよ？マネージャーの仕事だし｣
｢いや、大丈夫ですよ。俺が手伝いたいんで｣
｢そうなの？いい後輩を持って嬉しいなぁ｣
”後輩”
その言葉が胸に刺さる。
男としても見てもらえない、ただの後輩。
｢先輩、俺が持ちますよ｣
｢大丈夫だよ、いつも持ってるし･･･わっ！｣
荷物を運んでいるA先輩が
バランスを崩しそうになる。
｢先輩っ！｣
なんとかA先輩を守ることに成功。
(よかった･･･)
｢大丈夫ですか？｣
｢わぁ、びっくりした！ありがとう弟者くん｣
｢どういたしまして｣
これでもダメか。
今のは男らしさあっただろって思ったけど
A先輩はいつもの調子。
(はぁ･･･俺ってそんなに子供･･？)
ｰｰｰｰ
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年12月8日 6時
