07 ページ14
ｰｰｰｰ
｢あっ！｣
鳥居に向かっている途中で彼を見かけた。
｢こんにちは｣
｢もうこんばんはの時間ですよ？｣
｢どうしたの？｣
｢あの･･･聞きたいことがあって･･･｣
私はさっきおばあちゃんから聞いたことを確かめたくて
彼にひとつずつ話をした。
｢そうなんだ｣
｢でも私･･･あなたが生贄を求めてるなんて思えなくて。
だって私を助けてくれて、守るって言ってくれて･･･｣
上手く説明ができない私の話をじっと黙ったまま
聞いてくれる。
｢ねえ、こっちに来て｣
不意に手招きをされ、彼は林の奥へと進んでいく。
｢あっ、待って･･･！｣
はぐれないようにと慌てて後を追っていけば
徐々に草木の背が高くなる。
｢あの･･･どこに･･･｣
｢いいから｣
暗くなってくる周囲の様子に少しずつ不安が増してきた。
｢あの、私･･･そろそろ･･･｣
帰る、そう口にしようとした瞬間
彼が振り返り私の腕を掴んだ。
｢え、あの･･･離して･･･｣
｢離さない｣
｢･･････｣
(おかしい･･･)
そう思った瞬間、頭の中で警笛が響いた。
目の前にいる彼はほんとにあの時の彼なのか。
不意に、彼の手に力がこもる。
それは少し痛みを感じる程に。
｢連れて行って｣
｢･･････！？｣
一瞬誰が発したのかわからなかった。
でも聞き間違うはずがない。
あの時の声。沢山の声がざわつきの中で聞こえ始めた。
逃げなきゃ
そう思った時には既に遅く、あっという間に
あの時の闇に飲み込まれてしまった。
･･･
･･
｢･･･ちゃん｣
｢Aちゃん！｣
遠くで私を呼ぶ声が聞こえる。
上も下も、右も左も、前も後ろも･･･
どこがどこかわからない。
ただ私を呼ぶ声が響いた。
チリン
｢！！｣
きいたことのある音。
目の前の闇が揺らぎ、チリンと御守りがなった。
ｰｰｰｰ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：そすんさー | 作成日時：2018年12月8日 6時
