Cleome 01(乙) ページ7
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すれ違った瞬間視線が合う。
彼は器用に軽くウインクしてみせた。
それが合図。
｢おついちさん、誰かに見られたら･･･｣
ここは資料室。
いつ、誰が来てもおかしくない。
｢大丈夫だよ、Aが静かにしとけばね｣
｢･･････理不尽｣
私は頬をふくらませ、おついちさんの胸の中で
不貞腐れてみせた。
ドア越しに廊下を歩く人の声がかすかに聞こえる。
腰に腕を回し私を抱き締めているおついちさんが
不意に首元に顔を埋めた。
｢わっ･･･ちょっと･･･！｣
｢こら、静かにしないとバレるよ？｣
｢もうっ｣
楽しそうに笑うおついちさん。
私が強く抵抗しないことを知ってか
スキンシップが過剰になる。
私たちの関係は周りには秘密。
だからおついちさんは私に目配せをして
こうして資料室で二人だけの時間を楽しんでいる。
それは私も一緒。
｢いっその事皆に言って回りたい｣
｢自分でダメって言ったんじゃない｣
おついちさんは溜息をつきながら
私の体に回した腕に力を込める。
｢そうだけどさぁ、俺はどこでもイチャイチャして
Aは俺のものだって見せつけたいのに｣
｢いいよ、公言しても｣
｢いや、それはダメ｣
どっちなの。そんなことを思って苦笑した。
そんな私を見ながら、
おついちさんはネクタイを少し緩める。
背中に回っていた腕が離れ、
頬を撫でて顎に指を添えられた。
それを合図にするかのように、ゆっくりと目を閉じれば
ふわりと香るおついちさんの香水、
柔らかな感触とともに重なる唇。
重なっては離れ、また重なって
時折啄むように唇を挟まれ、息が漏れる。
｢はぁ･･･A、今日は早く帰ろ？
早く家に帰って誰の目も気にせず甘えたい｣
｢そうだね、早く帰ろ｣
甘えたい、そんな言葉を口にするなんて珍しい。
今日はたくさん甘えさせてあげよう。
そう思い、私からも唇を重ね小さく頷いた。
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年7月22日 23時
