短夜に蛍 01(弟) ページ40
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金属音を立ててドアを開ける。
寝室は暗く、ベッドサイドに光がほんのり灯っていた。
少し膨らんだ布団が、
彼女がそこにいることを教えてくれる。
そのままシャワーを浴びてスッキリした体に
よく冷えたミネラルウォーターが染み渡った。
再び足を踏み入れた寝室。
ベッドで静かに眠るAの輪郭が
灯りにうっすらと照らし出されていた。
｢気持ち良さそうに寝てるな･･･｣
すぐに布団に入ってもいいんだけど
今日はもう少し、この寝顔を見ていたいと思った。
栗色の髪を撫でた指が白い肌の上を滑る。
前までは長かった髪。今は顔のラインにかかる程。
｢俺のために切ったんだよな･･･｣
俺が短い髪が好きとポロッと漏らした翌日
髪を切ったA。
AはAだから、髪が長くても短くても
俺の気持ちは変わらないのにな。
｢Aのそういうとこ、好きだよ｣
そう呟いた時、手に温かいものが触れる。
｢･････ふふ、おかえり｣
俺の手を握ったAが
ニッコリと笑みを浮かべていた。
｢え･･･A、聞いてた？｣
｢うん｣
Aはニンマリと笑って、俺の手をにぎにぎと握る。
｢いつから･･･？｣
｢うーん、それは内緒｣
楽しそうだな。
無邪気な笑みにつられてしまう。
｢ねぇ･･･お布団の中、ちょっと冷たいな｣
突然そんなことを言うA。
いくら夏の終わりだと言ってもそれはないだろう。
｢冷たくはないだろ〜｣
そんな俺の言葉にAが握った手をパッと払った。
｢もう、わかってないなぁ。
早く一緒に寝ようってことなのに･･･。
まぁ、弟者くんのそういうとこ、好きだよ｣
そして再び手と手が触れて、布団の中は温かくなった。
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年7月22日 23時
