暑さにも負けず 01(弟) ページ37
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「あつー・・・」
「じわじわする・・・」
夏期講習。
なぜか教室のクーラーが壊れていて
窓を開けるも生ぬるい風。
「だめだ・・・もうだめ・・・夏期講習どころじゃない」
弟者くんは机に突っ伏して目を閉じる。
額にはうっすら汗。
私は持っていた冊子で弟者くんを扇ぐ。
「あー・・・ちょっと涼しい・・・ありがとう、A」
「それにしても暑いね・・・もう8月も終わるのに」
窓の外ではセミが元気よく鳴いている。
この暑さじゃ何にもできない。
それは生徒も教師も一緒だったようで
図書室へ移動になった。
涼しい室内ですっかり上機嫌の弟者くん。
講義も順調に進み、夏期講習は無事終了。
「A、ちょっと見たい本あるから付き合って?」
「ん?いいよ」
先生がいなくなった図書室。
弟者くんと二人きり。
「弟者くん、なんの本探してるの・・・?」
「んー・・・」
少し考えるような素振りをした弟者くんが
にっこり笑って手招きをする。
不思議に思いながら近付けば掴まれた手を引かれて
弟者くんの胸の中。
「わっ・・・!」
ビックリして思わず声を上げるけど
すぐに背中に腕を回す。
トク・・・トク・・・
かすかに聞こえる心臓の音。
好きな香り。
「はぁ・・・やっと二人になれた。」
そんなことを言う弟者くんについ笑ってしまった。
「わりと二人だけどね」
「だって朝は暑くて全然Aとくっつけなかったし。
講義中はくっつける訳ないし・・・」
「そんなにくっつきたかったの?」
私の言葉に弟者くんが眉を寄せる。
「なんだよ、
Aは俺とくっつかなくても大丈夫なの?」
「そういう訳じゃないけど・・・。
家でいつもくっついてるのに」
「俺はもっとくっついてたいの!」
そう言って力強く抱きしめられた。
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作者名:そすんさー | 作成日時:2018年7月22日 23時