返事はYes 01(弟) ページ33
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｢カンパーイ！｣
店内に響いた賑やかな声。
それに続いて何人もの声があがる。
今日は会社の飲み会。
ひと夏を乗りきった、ひと足早いお疲れ様会。
近くの席の同僚とグラスを合わせ、
あまり飲めないビールを少しだけ口に含んだ。
｢にがっ･･･｣
口の中に広がる苦味に僅かに眉を寄せ、
すぐに別の飲み物を注文。
｢おまたせしましたー｣
頼んでおいたドリンクを受け取り一口。
爽やかなミントの香り、ちょうどいい口当たり。
｢ん、おいしい｣
｢A〜お疲れ！｣
と、一際元気に声を掛けてきたのは別チームの弟者くん。
何度か社食や休憩室で会うことがあって
よく声をかけてくれるいい人。
｢それなに？｣
｢これ？ミントジュレップだよ｣
｢ミント？俺ミント好き！どんな味？美味しそう！｣
どんどん出てくる言葉に笑いながらグラスを差し出す。
｢ちょっと飲んでみる？｣
｢えっいいの？飲む飲む！｣
グラスを受け取った弟者くんが一口。
次の瞬間には注文ボタンを押していた。
｢めっちゃ美味しいじゃん！あ、すみません、
ミントジュレップひとつお願いします｣
余程気に入ったみたい。
二人で他のミント系のお酒も飲んでみようと
散々頼んだ挙句、気付いた時には
二人ともかなり酔っ払っていた。
｢A〜顔真っ赤じゃん〜｣
｢弟者くんこそ〜｣
ヘラヘラと笑い合う私達を見兼ねたのか
同僚にテラスにでも行ってこいと
追い出されてしまった。
｢もお〜なんなの〜･･･｣
｢行ってやろ〜ぜー･･･おおっ涼しい！｣
テラスには気持ちの良い風が吹いていて
少し酔いが覚めてきた。
｢涼しいね〜･･･っくしゅん！
酔ってるからちょっと冷えちゃうな･･･｣
火照った体に夜風は少し冷たかったみたい。
体を抱くように腕をさすっていれば
ふわりと何かが肩にかけられた。
｢これ、掛けてなよ｣
掛けられたのは弟者くんの上着。
体格差があるから私の体は上着にすっぽり。
弟者くんの体温がまだ残っていて
冷えたからだがじんわり温かくなる。
｢ありがとう、あったかいね｣
そう言って笑いかければ弟者くんにじっと見つめられる。
｢な、なに･･･？｣
｢いや･･･寄ってない時にちゃんと言うから｣
そう言って視線を逸らした弟者くん。
なんとなく、何を言おうとしてるのか
わかる気がする･･･。
｢うん、待ってるね｣
だから私は弟者くんが言ってくれるのを待つことにした。
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年7月22日 23時
