memoire 01(弟) ページ23
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｢わぁ･･･！｣
三年ぶりの地元。
久しぶりに帰ってきた懐かしい街並みは
あの時とすっかり変わっていた。
駅前は確か･･･シャッター商店街･･･
それが今は駅ビルが建って大きな道路がのびている。
駅もすっかり変わっていて、まるで知らない土地のよう。
｢これじゃ懐かしさの欠片もないな･･･｣
そう苦笑して、変わらないであろう実家を目指した。
タクシーで程なく、我が家はある。
そこの街並みは昔とは変わらずの姿を残していた。
｢おかえり、A｣
出迎えてくれた家族にも変わりはない。
｢今日、飲み会なんでしょ？｣
｢うん、高校の時に仲良かった子達とね｣
そう、地元に帰省するなら飲もうよ、と誘われている。
｢18時には出かけるから｣
｢はいはーい｣
母親にそう告げ、時間を確認する。
｢シャワー浴びて、ゆっくり準備したらいい感じかな｣
｢A久しぶり〜！｣
｢大人になったな！｣
｢いやいや、皆同じ年齢だから｣
お店で出迎えてくれたのは懐かしい面々。
どこか面影も残っている。
近況報告や思い出話が弾む中、一人が席を外した。
なんでも遅れてくる人を迎えに行くのだとか。
｢お待たせ〜連れてきたよ｣
しばらくして戻ってきた友人の後ろから現れた人に
私の時間は止まった。
｢久しぶり｣
｢･･･弟者、くん･･･｣
弟者くんは、高校の時の元彼。
喧嘩別れをしたわけじゃないから
別に気まずくはないんだけど、
すごくカッコよくなってて･･･
思わずドキリとしてしまった。
その後は何事もなく会話も盛り上がり、
あっという間に席の時間が終わってしまった。
｢A、このあと時間いい？｣
｢えっ･･･｣
みんなが帰り支度を始めている中、
こそりと弟者くんが耳打ち。
あの時よりもずっと低く、優しい声色に
耳がくすぐったい。
｢うん･･･｣
小さく頷いて店を出る。
｢じゃ、俺こっちだから。｣
｢あっ、私も｣
弟者くんの言葉に乗っかるようにして
友人に別れを告げる。
｢A、もう一軒付き合ってくれる？｣
｢いいよ｣
横を歩く弟者くんは、思い出の中の弟者くんよりも
ずっとたくましくて、体も大きくて、
でも優しい目元、声は変わらなくて･･･
並んで歩いてると、まるで高校生の時に帰ったみたい。
どこか懐かしさを感じながら二軒目のお店へと入った。
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年7月22日 23時
