【浴衣】花萌葱 01(乙) ページ22
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張り切ってきた浴衣。
桔梗の柄の少し落ち着いた大人っぽいデザイン。
髪もアップにして、簪をさす。
姿見で全身を確認。
いつもはあまり見ない後ろ姿もしっかりと。
｢うん、帯も綺麗｣
片蝶結びにした帯が綺麗に垂れた後ろ姿に
我ながらご満悦。
ピンポーン
ちょうどいい所でインターホンが鳴る。
きっとおついちさんだ。
｢はーい｣
｢お待たせ、A。あ･･･｣
おついちさんの視線が浴衣に移される。
｢ど、どうかな･･･｣
気に入ってくれるかな。
おついちさんをイメージして買ったなんて
恥ずかしくて言えないけど。
｢可愛い、すっごく可愛い。
この色、好きだな。俺の色みたい｣
｢！･･･あの･･･実はね、おついちさんイメージして･･･｣
言っちゃった･･･。
だっておついちさんが俺の色って言うから･･･。
｢そうなの？俺たち以心伝心だね。｣
そう言って嬉しそうに、
照れくさそうに笑うおついちさん。
買ってよかった、ほんとにそう思った。
｢はい、どうぞ｣
｢･･･ん｣
伸ばされた大きな手に手を重ねれば
そっと指が絡んでしっかりと握られる手。
それから強く手を引き寄せられ、
私はピッタリとおついちさんの横。
お祭りの会場には色んな屋台があって賑わってた。
しばらく歩いて回っていれば
履きなれていない下駄に足が痛み始める。
でもせっかくのお祭り。
おついちさんとのデート。
残念な形にはしたくない。
痛みを我慢して歩き続けたけど、それにも限界があった。
｢痛っ｣
階段を上がろうとした時、ついに我慢が出来ず
声が漏れてしまった。
｢A？｣
心配そうにみつめるおついちさん。
｢だ、大丈夫。ちょっと足痛くなっちゃっただけ･･･｣
｢見せて｣
私の言葉を遮るように次がれる言葉。
｢え、大丈夫だよ｣
｢いいから｣
おついちさんはその場にしゃがみ、鼻緒で擦れ、
赤くなった私の足を見た。
｢なんで言わなかったの？もう･･･｣
｢え･･･わっ！ちょっと･･･！｣
突然体が宙に浮く。
おついちさんに抱えられてることに
すぐに気付いた。
恥ずかしいけど暴れると体勢が崩れそうで
慌てて首に捕まる。
｢もう、おバカ。どうせ気遣ったんでしょ。
いらないから、そういうの｣
｢･･･ごめんなさい｣
ごもっとも、図星をつかれ肩を落とす私に
おついちさんは優しく微笑んでくれた。
｢俺は一緒に楽しみたいんだから｣
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作者名：そすんさー | 作成日時：2018年7月22日 23時
