わたし《いちごみるくさんリク》【虫眼鏡side】 ページ35
「あ!虫さん虫さん!みてー!」
「じゃじゃーん!ギプスが取れちゃいましたー!」
虫「お〜!やったじゃんA〜!」
「もー、ほんまによかったー!」
僕を見つけるなり腕を高々と掲げてはしゃぐA。
話し方とか仕草とか、あの事故が起きる前と何も違いはない。
奇跡的に記憶が戻ったのだろうか、偶に懐かしい昔話も持ち出してくるようになった。
初めてAがてつやのことを「てっちゃん」って呼んだ時はどうだったっけ。
…顔じゅう涙でぐちゃぐちゃにして引くぐらい喜んでたなぁ。笑
Aめちゃくちゃびっくりしてた。
「お医者さんにも回復早いって言われたしっ…うわ!?」
「…なんや、てっちゃんか笑」
て「なんやってなんやぁ!Aギプス取れたん〜!」
虫「ちょっと、あんまりくっつきすぎたらA臭くなるから」
て「お前の目は節穴か!どー見ても風呂入った後だろ!」
「うるさ、笑」
廊下からぺたぺた足音がしたかと思うと、風呂上がりらしいてつやがAに飛び込む。
若干の毒舌でてつやをあしらうA。
「ねぇ〜」って言いながら嬉しそうな表情でAにまとわりつくてつや。
しばらくそれを眺めていれば、玄関のドアが開いて一斉になだれ込んでくるメンバー。
Aに張り付くてつやを見るなり大声を上げて全員で取り囲む。
男共から抜け出したAが隣へとことこやってきて、ぱちりと目が合うと儚げに笑った。
「これからも仲良くしてくれる?」
虫「ふふ、もちろん」
「…私がみんなのこと忘れちゃっても?」
虫「僕たちはAのこと忘れない」
「…そっか!」
Aは数回頷いてから僕の隣に腰掛ける。
目の前のコーヒーの湯気が、ぐらりと揺れた。
────────────
『この前退院してったAちゃんって子、運ばれてきたときよりはたくさん笑うようになったよね』
『そういえば、頭打った衝撃で記憶喪失なったって…』
『あの子、毎日スマホとパソコンで何か熱心に見てたわよ』
『毎日お見舞いに来る彼ら、YouTuberらしいです。Aちゃん、彼らのこと調べて覚えようとしてたんじゃないでしょうか』
『まぁ、記憶が戻る方が奇跡だからね』
『あ、でもAちゃんすっごく記憶力いいんですよ!数日間で6人の名前とか覚えて、僕と問題の出しあいっこしましたもん!』
『記憶喪失、彼女の重荷にならないといいけど』
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むめ(プロフ) - 優さん» ありがとうございます(;▽;)嬉しいです(;▽;)更新めちゃくちゃゆっくりですが、どうぞお付き合いください(;▽;) (2019年1月2日 20時) (レス) id: 31725d356a (このIDを非表示/違反報告)
優 - めちゃくちゃ好みの作品です!更新頑張って下さい!応援してます! (2018年12月28日 14時) (レス) id: b364b26750 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - むめさん» 全然大丈夫です! (2018年9月9日 21時) (レス) id: d9dc425cfd (このIDを非表示/違反報告)
むめ(プロフ) - いちごみるくさん» リク了解しました!!ドラマとかそんな感じでも大丈夫でしょうか...??( ´艸`) (2018年9月9日 16時) (レス) id: 31725d356a (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - リクエストいいですか?てつやと2人で買い物に行って車が赤なのに突っ込んできて、てつやがひかれそうなところをたすけて代わりに引かれてしまう、そして記憶喪失になる的なのできますか?記憶はそのうち取り戻す的な感じで、お願いします! (2018年8月28日 20時) (レス) id: d9dc425cfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:むめ | 作成日時:2018年6月15日 1時