YouTuberの友達です。 6 【東海オンエア】

寝坊【りょうside】 ページ5

「りょうくんほんっまにごめん」



り「いいよ、もうほんとに大丈夫だから笑」



「ほんまに申し訳ない」



り「もー、顔上げなって笑」



渋々顔を上げたAは泣きそうな表情で、何度も「ごめん、ごめん」と謝り続ける。



この原因はAにある、とは言っても、本当に大したことじゃない。



り「Aが寝坊するの、初めてじゃない？笑」



「かもしれん…ごめん…」



り「ごめんって言うのやめなさい！笑」



そう、Aはほぼ人生初と言っていい寝坊をしたのだ。



それがたまたま俺との約束のときだっただけであって、気にするほどのことでも無いんだけどなぁ。



責任感の強いAのことだからすっごい気にするんだろうけど。



俺も前にAとの約束で風邪引いて寝過ごしたことあるし、どっこいどっこいなんだよね。



り「俺も寝坊とかするから！普通に！」



「でもでも…」



り「はーい、次ごめんって言ったらその数だけ意地悪するよ」



「ごm…はい」



り「よろしい」



折角デート行くのに、ずっと申し訳ない気持ちだったら、ねぇ？



また俯いてしまったAの手を取って「行くよ」と声をかければ、不安げな顔を上げて小股でついてくる。



…ペンギンさんみたいで可愛い。



り「A、朝ご飯食べてないでしょ？」



「…うん、」



り「朝ご飯食べに行こうか、どっか美味しいとこ」



「…ご…ありがと、」



Aは遠慮がちに笑顔を浮かべると、俺の隣にぴったりとくっついた。



Aは普段自分からこんなにくっついてこないだけに、いつになく心臓がキュッと締まった。



弱気なAも、たまにはいいかもしれん。



り「A、何食べたい？」



「サンドイッチ…？」



り「じゃあカフェ探そっか、この辺の」



「うん、ありがとう！！」



り「…やっぱり笑った方がいいね、Aは」



「照れるやん、そんな急に、笑」



り「早く、行くよ！」



「りょうくん照れとるーーー」



はにかむように笑ったAのせいで、さっきまでの余裕は無くなってしまった。



なんだ今の笑顔は。



好きすぎるわ。



火照った顔を冷ますために、歩くスピードを速める。



信号待ちで止まったとき、Aが俺の顔を覗き込んで言った。



「りょうくん、怒ってもーた？ごめんね、」



り「…あ。笑」



「あ。」



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