YouTuberの友達です。 5 【東海オンエア】

お願い【てつやside】《まあこさんリク》 ページ22

《命に別状はありませんが、意識回復までには少し時間がかかりそうです》



手術室の前で医者にそう告げられ、どっと安堵と疲れが押し寄せてきた。



本当に良かった…。



隣に座っていたとしみつは、もう放心状態。



手に赤黒いものを付けたまま、口をぽかんと開けている。



り「としみつ、手洗ってきな」



と「…あ、おう」



虫「後で警察来るって。としくん大丈夫そう？」



と「大丈夫。」



り「俺、売店で何か買ってくるね。としみつ、何飲む？」



と「水でいいや」



張り詰めた緊張感の中、皆がそれぞれの為に慌ただしく動き出す。



そのとき、この状況に納得できなかったのは俺だけだったのだろう。



1人、立ち上がって皆に背を向けた。



て「ねぇ、俺もう我慢できん。」



虫「てつや、どこ行くん」



て「家。俺、クソみてぇな奴らに言ってやるわ。リスナー辞めろって。」



虫「よく考えて。Aはそれで喜ぶ？安心して戻ってこれる？」



虫さんが俺に穏やかな口調で語りかける。



言葉に詰まって振り向けないでいると、また虫さんはゆっくりと続けた。



虫「てつや。」



て「…でも」



虫「今僕達にできることは、Aが回復するのを待つだけ。まず、Aが帰ってこれる場所を作らなきゃ。」



虫さんが俺の肩に手を乗せる。



…落ち着け、俺。



て「…分かった、でも、この状況を伝えることだけでもさせて」



虫「それはてつやに任せるよ」



虫さんはそう言ってから俺の背中を強めに叩いて、車のキーを手に握らせた。



て「ごめん、後は頼んだ」



虫「まぁ任せてよ」



病院を出ると、強い追い風が吹く。



急かされるように、車へ急いだ。



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【生放送】



て「東海オンエアのてつやです。」



て「先程、僕達の友人であるAがトラブルに巻き込まれ、命に別状はありませんがまだ意識が回復していません。」



て「お願いです。」



て「僕の大切な友人を傷付けないでください。」



て「苦しくなるのはAだけじゃなくて、Aの周りの人や応援してくれる人なんです。」



て「…今は気持ちが混乱していて上手く言葉がまとまりませんが、本当にこれだけは伝えたかったんです」



て「Aのことは後日落ち着いたら詳しく話します、それまで待っていてください。」



て「…これからも、東海オンエアとAをよろしくお願いします。」

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