YouTuberの友達です。 5 【東海オンエア】

お願い【としみつside】《まあこさんリク》 ページ21

「近いのに申し訳ない…」



と「気にすんな」



「優しい」



と「やめろそういうこと言うの！キャラが崩れるだろ」



「硬派なキャラが？」



と「まず顔面が崩れるからやめとけ」



「変なの」



もうだいぶ落ち着いたのか、Aは楽しそうに俺を見上げて笑う。



Aの笑顔見てると、こっちまで安心するんだよなぁ。



「…明日からのこと、てっちゃんに言っといたから。しばらくは控えとくって」



と「てつやは？」



「私が落ち着くまで待ってるよって言ってた」



と「…寂しくなる」



「大丈夫、ちょっとだけやし」



と「てつやの家散らかるやん」



「代わりにとしくんお願い」



明日からAが来なくなるってなると、もうこの時点で寂しくなる。



手の甲が触れたのを言い訳にして、Aの手を握った。



Aの視線には気付かないふり。



言葉もなく歩いていると、気付けばもうAの家の前。



Aは俺の手を握る力を弱めた。



「今日はありがと」



と「毎日俺にモーニングコールして」



「どうせ起きん笑」



と「…待ってるから。」



「しゃーないなぁ。笑 ありがとう。じゃあね。」



Aが俺の頬を優しく撫でて、背中を軽く叩く。



心配するな。



そう言われているような気がして、俺はAの頭を雑に撫でてから、ゆっくりてつやの家の方へ歩き出した。



白いものがふわりと目の前を舞う。



あ、雪。



次、Aに会えるときには、雪積もってるかなぁ。



そんなことを考えていると、後ろから鈍い音が聞こえてきた。



嫌な予感がして後ろを振り返る。



と「…A？」



吹雪いてきた雪のせいで白くなっていく視界に目を凝らすと、誰かが道路に倒れているのが見えた。



服装からして、間違いなくAだ。



と「A！！大丈夫か！？」



Aに駆け寄って抱き起こす。



背中に手を回したとき、何か温かいものが手に触れた。



その正体が何か分かった途端、頭が真っ白になっていく。



と「A、しっかりしろ！」



「…としくん、焦らんで、救急車、呼んで」



微かに目を開けたAはまだ意識ははっきりしているようで、焦る俺の手に携帯を握らせた。



「救急って言って、私の家の住所も、」



と「分かった、A、大丈夫だからな」



震える手を抑えながら、119のボタンを押した。



容態も、住所もきちんと伝えて……そこから先は、覚えていない。

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