番外編『マガイの王子の覚悟』 ページ46
生まれて最初に見たのは静かな闇の海だった。
光すらも太陽すらも飲み込もうとする大きな大きな泣いてる蛇だった。
でもその中に自分と同じ何かを持っていて一筋の光が見えた。
どちらも哀れで
同じ筈なのに全く違うモノ。
生まれてこのかた母親というモノを見たことがない。
人間というでも神でもない既存の枠に収まらない存在故にいないモノだと思った。
それを7歳の誕生日にプレゼント代わりに、
父親と逸れて自分にそっくりな少女と白い髪の男性に出逢った。
後から聞けば、その少女が母親で自分の肉体のオリジナルであることを知った。
正直に言えば嬉しかった。
皆と同じように系図的に父親がいて母親がいる。
それがどうしようもなく嬉しかった。
母親と母方の伯父がかつて武人だったことを知って俺は剣の稽古を始めるようになった。
同時に体内にある瘴気や魔力の使い方も教わった。
数年ぶりに出た外の世界。
ニホンという小さな町。本で見た家々。
全てにおいで初めての経験をした。
伯父と初めて会って戦った。
大剣を奮った時のあの快感…、強者を越えようとする本能…。
全てにおいて興味が湧いた。
母と再び会った時、彼女は俺のことを忘れていた。
悲しくなかったと言えば嘘になる。
敵同士の親子。
暗闇の育てられた自分にそんな感情があるとは思いもしなかった。
何だよ、この昼ドラみたいに展開は⁉と状況にツッコミを入れてたら視界は空になっていて水に叩きつけられていた。
しかも、母親の同僚に体をスプラッタされるとはほぼ平和(？)なこの地上で経験させられた。
まぁ、諸々の事情で死なないんだけども。
陽乃芽という少女に真実を伝えて伯父の正体伝えて危険から遠ざけようとしたが邪魔がはいってしまった。
自分はまだこの手で人を殺したことはないし、自分が育ったとこはどんなとこかも物心ついた時に知ってる。
2人の父親は何がしたいのかも…。
唯一知らなくて知りたいモノは
「自分が何者なのかやりたいことを考えなさい。」
それを言った少女だった。
周りの人に聞いてもわからない。生まれてから初めて父親以外で聞いた声だった。
だから俺は自分を
やりたいことはただ一つ。
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駄作者「何じゃこりゃ⁇」
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作者名：not厨二病者 | 作成日時：2020年3月30日 18時
