225話 ページ42
イム「強いて言うなら血が出たのは極度なストレスだな。
で、これは俺や桐谷でも見たことがある。」
桐谷「現代でいうと血汗症だな。
戦に行く前の兵士や死刑宣告を下された者が流すことが多い。俺の昔の部下にも少なくはなかった。」
桐谷の顔に影が落ちる。
が、すぐにそれは消える。
桐谷「ぶっちゃけ、死を目前にするほどの恐怖とかを感じてアドレナリンが異常に放出されない限り見ないんものなんだ。」
稲羽「ということは((名前1))さん、あん時に何か怖いもんでもあったんスか？」
晴吾「姉貴の怖いモノ……、ダメだ。支部長と思金の兄貴の説教しか思いつかねぇ…。
でも血の涙は流してねぇから違うものか？」
陽乃芽「はっ⁉ 誰かの幽霊見ちゃったとか⁉」
八上「でも((名前1))お姉ちゃんはそういうの見えないらしいですよ。」
コンス「どちらかと言うと、怖がると言うより怖がられるタイプだったからな…。」
ラト「偶に脅してましたものね、上官を。」←
言いたい放題である。
イム「となると、ヘテプヘルネブティ頃の何かか？それとも異界の神としてか…？」
一同の視線が桐谷に集まる。
桐谷「え？まさかの俺が原因？？
その場にいなかったのに？？？」
困惑極まりである。
コンス「あ！」
コンスが声を上げる。
コンス「そういえば、彼女。誰かを見てたみたいで手を伸ばして口でパクパクしながら何か言ってた…((桐谷「オイ‼ そいつがどんな奴だったか覚えてるか‼？」
突然、桐谷が声を荒げた。
コンスは((名前1))と同じ背丈ぐらいの女性であったと答える。
ただ後ろ姿だけで、白い髪だったと。
桐谷「なるほど…。」
イム「その女はマガイ教なのか？」
イムホテプの答えに桐谷は否定する。
桐谷「否、あの女のことは俺がよく知っている。
マガイ教なんかの手先なり手を組むのはあの女のポリシーに反する。」
桐谷はドアに近づく。
イム「何処に行くのだ⁉」
桐谷「あーちょっとその女を探してる奴がいてね。
情報を渡すだけだ。大丈夫だ、朝には戻る。」
空丸「さっきのお知り合いで？」
桐谷「ああ。」
桐谷からは普段の優しいお兄さんとも過去の盗賊として雰囲気を感じれない。
そこにあるのは憎悪…の化身だった。
そんな師匠にコンスは問うた。
コンス「その人は何者なんです…？」
桐谷の返答は一言。
「俺達の最初で一番憎い母親だ」
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作者名：not厨二病者 | 作成日時：2020年3月30日 18時
