四話 ふじ ページ4
「普段は何をする部活なんですか?」
淹れてくれたコーヒーをすすりながら、露木先輩に尋ねる。
「僕は、自分の専門分野の研究をしてます」
「専門分野?」
「ええ、吸血鬼です」
ひくっと口角がひきつる。
この人厨二病かな…いや私は実際に妖怪と会ってるから、妖怪について知りたくてもおかしくないし?!
「へえ。なるほど…他の方は?」
そう聞くと、きょとんとした顔で見られる。え?
「僕以外、いませんけど」
「ええっ?!」
「去年は3年生が2人いたんですが卒業されたので」
「もしかしなくても同好会って消滅の危機ですか…?」
「まあそうですね。例えなくなっても僕は僕で研究続けるので特に困りませんが」
「そ、そうですか」
えー…どうしようかな。他の部活で良いのとかあったかな?運動は苦手だから文化部がいいけど、特に惹かれるような部活は……
「…?これはなんですか?」
ふと手元にあった雑誌を手に取る。
「ああ、それは前の先輩方が置いていったオカルト雑誌ですね。同好会は部費が出ないので、完全自腹ですけど、今までの先輩方が買ってきた雑誌はそこら中にあります」
月刊モー。名前だけは聞いたことがある。
『特集カッパの真実!いつから存在しているのか!』
とポップなフォントでデカデカと書かれている。本当にこの同好会には、そういうのが好きな人達の集まる場所だったんだな。
バサバサと雑誌の山を崩して、他の雑誌も見ていると、
『妖狐の力の強さは? 実証してみた!』
なにやら気になる特集が。
「朱雀さんは、何か調べたいものでも?」
「………妖怪を」
「ふむ。それでしたら前の先輩が置いていった妖怪図鑑とか、古い文献とかありましたね。どこにあるかは全くわかりませんが」
「私!入ります!」
「え」
「勉強させてください!」
こうして部員2人となった同好会は廃部を逃れたのだった。
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南条(プロフ) - 彩弥 Ayamiさん» コメントありがとうございます!気に入って頂けて嬉しいです。更新頑張って行こうと思います〜! (2020年11月4日 23時) (レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
彩弥 Ayami(プロフ) - コメント失礼します…。やっぱり椿は可愛くてかっこいいですよね…♪ニヤニヤしながら読ませていただきました(笑)更新楽しみにしてますね! (2020年10月31日 20時) (レス) id: ea9a1583d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:南条 | 作成日時:2020年6月3日 11時