二十八話 ひまわり ページ28
以前に遊びに来たことのある高層マンションの最上階にへと向かう。前は扉の前で右往左往していたけど、堂々と入口から入る。
椿さんがいるかは分からないけど、とにかく行ってみないと。エレベーターに乗って最上階の階を押す。
ドキドキと緊張で心臓がうるさい。
扉が開くと同時に外に出ると、どこかで見たことのある顔の人とぶつかった。緑髪の同い年ぐらいの男の子…誰だっけ。
｢朱雀さん？！どうしたの｣
男の子はなぜか私を知っている風なので、これ幸いと私は椿さんのいる場所を尋ねてみた。するとこの時間は屋上なんじゃない？あの人気まぐれだからいるかは分からないけどと返され、私は屋上へと繋がる階段を教えてもらい、階段を昇って屋上のドアを開けた。
＊
椿さんはフェンスの上に器用に座って、空を眺めていた。物音に気づきこちらを見る。
｢あれ、あやめ？どうしたの｣
バクバクとはやる心臓をぎゅっと抑える。
そういえばなにをどうやって聞こう。考えていなかった。
ハクハクと口を動かすが、上手く頭でまとまらない。
椿さんはいつの間にかフェンスをおりて、近くまでやって来ていた。椿さんがにこやかに笑いかける。
｢焦らなくていいよ｣
｢あ、えっと、えー、椿さん、は｣
｢うん｣
｢人間が、嫌いですか｣
｢…どうして？｣
｢…だって、椿さんは｣
吸血鬼、なんですよね
椿さんの顔から表情がなくなっていくのが私にはわかった。
｢……ど、どうなんですか。人間が嫌いだから、私に隠してたんじゃないんですか。｣
｢……｣
椿さんは何も答えない。その冷たさはいつも以上に感じた。
｢だから、全部嘘で固めて、私に近づいて、友達のフリしてたんですか｣
｢………｣
｢人間が…嫌いだから…｣
自分でも言っていて、どうしてこんなに悲しいのか分からなかった。
椿さんは今まで私に優しくしてくれた。それは、それだけは本当なのに、私の不毛な感情のせいで、椿さんの踏み込んじゃだめなところに踏み込んでる。
俯いていたら、椿さんの手がぐっと力強く握られたのが微かに見えた。そして、椿さんは言った。
｢僕は確かに人間が嫌いだよ｣
｢っ…｣
｢でもそれは、あやめ以外の人間だ｣
｢……え…｣
｢今まで黙っててごめんね｣
椿さんの顔は、苦しそうに眉を下げていて今まで1度も見たことないの顔だった。
｢僕は吸血鬼。それとね、あやめ｣
｢僕はあやめの―――｣
｢先祖、なんだよね｣
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南条(プロフ) - 彩弥 Ayamiさん» コメントありがとうございます！気に入って頂けて嬉しいです。更新頑張って行こうと思います〜！ (2020年11月4日 23時) (
レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
彩弥 Ayami(プロフ) - コメント失礼します…。やっぱり椿は可愛くてかっこいいですよね…♪ニヤニヤしながら読ませていただきました(笑)更新楽しみにしてますね！ (2020年10月31日 20時) (レス) id: ea9a1583d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南条 | 作成日時：2020年6月3日 11時
