二十七話 りんどう ページ27
「あーーーー」
なんにもない休日。私は外にも出ず、家で扇風機の前に座って、子供のように叫んで遊んでいた。というよりは気持ちが落ち着かないから、何となくしているだけだけど。
洗濯物を畳みながらお母さんが話しかけてくる。
「あんた、今日は友達んとこじゃないのね」
「え?」
「いつも休みの日は、友達と遊んでるじゃない。着物くれた友達」
「あー…そういえばそうだわ…」
今思えばめちゃくちゃ遊びまくってた。なのに、椿さんの本心はどこか遠いところで…
「あーーーー」
「なあに、喧嘩でもしたの?」
「してないけど…まあ、そんなとこかな」
「ふうん。」
珍しくお母さんが話に乗ってくれたので、いつもならお母さんに悩みを打ち明けるけど、この悩みはお母さんには話せそうにない。友達が吸血鬼で困っていますなんて、ラノベか?って感じだし。
「…あんたにも、人と合う合わないがあるし、無理に仲直りしなさいとも言わないけどさ、毎週遊んでくれて、その上着物までくれるような友達なんだから、しっかり感謝はしときなさいよ。」
「………お母さんはさ、嫌いな人に着物あげる?」
「飴ひとつもあげないわよ」
カラカラと笑うお母さん。椿さんの本当の心はどこにあったんだろう。私がいつも触れていた椿さんが、そうだったり?
やっぱりこればかりは聞かないと分からない。
もう本人に聞くしかない。そうじゃないと埒が明かない。
ずっとうじうじ考えるよりも、聞いた方が早い!
私は勢いよく立つ。
「どうしたの」
「……あー、ちょっと行ってくる!」
思い立ったら即行動。私は、椿さんに直接聞きに行くことにした。
ドキドキするし、本当に私のこと否定されたら怖いけど、嫌いな人にあんな高価なものあげるか普通?そんな強い気持ちが沸き起こってきて、今ならいける。と思い、家を飛び出した。
椿さんのホントのこと、どんなものでも受け止めてみせる。
なぜだかそんな勇ましい気持ちが、私を突き動かした。
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南条(プロフ) - 彩弥 Ayamiさん» コメントありがとうございます!気に入って頂けて嬉しいです。更新頑張って行こうと思います〜! (2020年11月4日 23時) (レス) id: 97d2c6287f (このIDを非表示/違反報告)
彩弥 Ayami(プロフ) - コメント失礼します…。やっぱり椿は可愛くてかっこいいですよね…♪ニヤニヤしながら読ませていただきました(笑)更新楽しみにしてますね! (2020年10月31日 20時) (レス) id: ea9a1583d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:南条 | 作成日時:2020年6月3日 11時